完備された後のネット技術しか知らない弊害
ネット右翼の主体はシニアであるという常識が覆されることになり、私は衝撃を受けた。むろんこういった若年世代のネット右翼は例外であり、ネット右翼の主力が依然としてシニアであることはやはり事実である。しかし例外としてもこれまで様々な調査の中で推定されてきたネット右翼の年齢層とは明らかに異なり、年齢的にはるかに下方にある黒瀬やウトロ放火事件の犯人が出現してきたことについては一考に値する教訓を残した。
この原因は、明らかに若年層においてネットリテラシーが育まれていないことである。シニア右翼と同じように、彼らは世に生を受けた瞬間からすでに高速インターネットを当たり前のように利用していた。仮に黒瀬が29歳だとしても、彼の本格的ネット利用開始は21世紀初頭以降になる。1990年代に存在したネットのカオス状態をまったく知らないまま、後発組としてネット利用を「疑うことなく」開始したのである。
自明の事として与えられた快適なネットインフラの利用により、ネット言説からの一撃が簡単に彼らを「右翼」に転向させてしまうことの脆弱性は、シニアと年齢的に対極にある若年層にも共通して存在する。完備された後のネット技術しか知らないことの弊害は、シニアの反対である若年層の一部に及んでいる。
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