約2400人を焼き殺した日本はいつまでも「警戒の対象」
敗戦国日本と戦勝国アメリカ、在日米軍と日米安保を通じたアメリカと日本の従属関係は現在も何ら変わることなく継続しているが、「無思慮型」の人々はこの現実を認識せず、「今のアメリカはかつての遺恨を不問にして、我々を支持してくれている」という理論に飛びついていく。アメリカからしてみれば、であるが、全てを都合よく解釈して「アメリカは味方なんだ」と信じている。
根底にこの価値観があるからこそ、トランプやバイデンが羽田や関空ではなくエアフォースワンで都心近傍の横田基地に直接乗り付けても、それを主権侵害とも屈辱とも思わず無思慮に大統領専用機を写真に収めて「日本とアメリカの絆!」などと、嬉々として米兵が焼いたBBQの肉を頬張っていられるのである。
―いつかはアメリカと対等に、と辛うじて夢想していた「面従腹背」の人々の「いつか」は日本の国力増進を前提にしたものだったが、もはや日本の国力が衰退に向かっていく現在、その「いつか」は永遠にやってこないかもしれない。そもそも日本の国力が絶頂を迎えていた1980年代末から90年代前半の時代ですら、日本は対米追従を見直すことなく何もやってこなかった。その「いつか」というのも、またぞろ先送りの精神で本気ではなかったのかもしれない。
「中国と韓国は過去の戦争のことでいつまでも難癖つけてくる」
残されたのは、同胞を焼き殺され首都圏(ばかりではないが)の空を占領され、横浜で米軍機が墜落して無辜の子供二人が焼け死に(横浜米軍機墜落事故)、沖縄(に限らないが)で米兵の粗暴事件があっても、「アメリカとの絆!」という虚構を謳うだけの「面従腹背型親米保守」だらけになってしまった。そしてこの矛盾を指摘されると、彼らは一様にムッとした表情になり、「現実的にはしかたがない」と繰り返す。所謂「自称リアリスト」である。
そして彼らは口をそろえて「中国や韓国は過去の戦争のことでいつまでも難癖をつけて批判してくるのに対し、アメリカはそういうことをしない。水に流してくれた」というが、すでに述べた通りアメリカも「大々的な難癖」を付けている。アメリカが本当に太平洋戦争を水に流しているのなら、オアフ島で沈没した戦艦「アリゾナ」をいつまでも展示していない筈だが、ハワイに行ったことがないのだろう。そして中韓米のみならず日本の侵略戦争の被害に遭ったフィリピンでは毎年「バターン死の行進」の合同慰霊祭が開催されているが、こちらも問題にされない。フィリピンに無関心なのだろう。
その口で特攻隊を称えるのだから、本当にいい加減にしてほしい。
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