正直、不気味なくらい存在感の薄い子でした

勤め先の警備会社社長も肩を落とす。

「この会社にいたのも短いですから、お話しすることがないんですよ。前職は、2年くらい別の警備会社で働いてたみたいです。警備会社から警備会社への移籍って、前の会社でちゃんと働いていたと認められた人しかできないんです。だから元々真面目に働いてたんだと思いますけど、プライベートなことまでは聞いてませんので…」

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Aさんが暮らしていたマンション、堅実に生活していた(撮影/集英社オンライン)

顔を合わせて間もない派遣警備員同士なら仕方がないが、今井容疑者は故郷の群馬県富岡市でも、近所では「不気味なくらい存在感の薄い子」と言われていた。

今井容疑者は男3兄弟の末っ子で、両親と祖母の6人家族は地元での付き合いもほとんどない一家として知られていた。
今井家の近くに住む40代の男性が語る。

「あのご一家の誰かが家の前で遊んでいたり、出かけるといった光景は一度も見たことないですね。中でも末っ子の裕くんはとにかく大人しいというか、道ですれ違って挨拶をしても無視されました。
ここら辺一帯は夏になると、隣保班(町内会)で神輿を出すことになっていて、普段は目立たないような子もほぼ全員が出て、神輿を引いたり太鼓を叩いたりするんですけど、今井さんのお家はお父さん以外見かけたことはなかったです。
近所の子たちが放課後や週末に学校のグラウンドで遊ぶときも、裕くんの姿は見かけたこともなかったし、正直、不気味なくらい存在感の薄い子でした。お父さんは土木関係の仕事をしていたので、朝早く出かけていくし、お母さんも道ですれ違っても、軽く会釈するくらいで、あまり世間話をしたこともありません。お母さんは近所のスーパーで調理を担当しているようです。この辺は田舎なので近所付き合いも深い地域なんですけど、裕くん含め、今井さん一家はとにかく存在感の薄いご家庭でした」

ひっそり目立たぬように育った今井容疑者は、高校を卒業して地元で就職したものの、9年ほど前に上京したという。
別の近隣住民男性はこう振り返る。

「裕くんは小さい頃から大人しくていい子で真面目すぎるくらいだったので、あんな事件を起こしてしまうなんて驚いてます。高校はあまり偏差値の高い学校ではなかったけど、卒業後も工場で真面目に働いてお金を貯めて、学校に行きたいから上京したって話を聞いた時も感心しました。東京に出て少し経ったころに帰省した際には『とりあえず派遣で働いています』と元気そうだったので、真面目に頑張ってるなと思っていたのですが…」

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逮捕された今井容疑者(FNNより)
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近所付き合いが濃厚な地方の小都市で、周囲と孤立するように目立たない一家で成長した青年はなぜ、殺人者へと変貌したのか。
風俗嬢の住む世界をきらびやかだと思い込み、そこの住人になりたいと思い込んだ果ての絶望が凶行に駆り立てたのだろうか。困惑の淵に突き落とされた、今井容疑者の父親が激白する後編に続く。


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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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