4月23日に行われた国政5補欠選挙で、自民党は山口2・4区、千葉5区、参院大分選挙区の計4選挙区で勝利した。
永田町では早期解散の憶測も強まる中、自民内で「ひとり負け」状態なのが、和歌山1区の議席を日本維新の会にとられた形の、二階俊博元幹事長が率いる和歌山県連だ。「二階王国」の選挙とあって、所属議員や秘書が総出で応援に駆けつけていた二階派にも、落胆が広がっている。
候補者選考から波乱
「不倫路チュー」元議員の擁立に「タマが悪かった」
これまで和歌山1区で5期連続当選を誇ってきた岸本周平氏が知事に転出したことに伴う補選で、自民はこれまで岸本氏に4連敗してきた門博文氏を擁立した。
「候補者を決める際に自民党が実施した調査では、知名度の高い鶴保庸介氏なら余裕で勝てそうで、当初は鶴保氏を擁立する調整が進められていました。でも二階氏の選挙区からの衆院転出を狙う世耕弘成氏にとっては、鶴保氏が先に衆院に鞍替えすることが面白くなかったんでしょう。
二階氏にとっても、二階派に所属していた門氏が当選すれば、派閥にとってプラスです。結局、和歌山県連は、岸本氏の支援をとりつけたことで、門氏でも勝負できるとみて、門氏の擁立を決めました」(二階派関係者)
だが、門氏を「勝てない相手ではない」と考えた維新が、和歌山市議を務めていた林佑美氏を擁立すると、雲行きが怪しくなる。
前出の二階派関係者が語る。
「門氏はもともと選挙に弱かったのに、2015年、女性衆院議員との『不倫路チュー』も撮られてしまい、今もスキャンダルの影響が強く残っています。今回、維新の候補が女性だったことも、門氏にとって戦いづらかったはずです」
そして告示日以降は、各社の情勢調査で門氏の苦戦が伝えられることに。その途端、世耕氏は手のひらを返すように「タマが悪かったんだよ」と周囲にこぼし始めるなど、和歌山県連と、派閥総出で選挙の応援をしていた二階派をとりまく雰囲気は重苦しくなっていった。
最終日には、1週間前に爆発物を投げられた岸田文雄首相や、二階氏と親しい小池百合子都知事も応援に入ったが、「停滞した和歌山に新しい風を」と訴える林氏には及ばなかった。