人間がいまひとつアテにならないときは、動物に頼ってみましょう。「最近、髪が薄くなってきました。まだハゲと呼ばれたくありません」という37歳男性の悩みに希望の光を与えてくれるのは、「赤ハゲ珍獣」とも呼ばれているハゲウアカリ。南アメリカ北西部に棲息する小型のサルです。ハゲでブレイクした“成功例”をあげて、代弁者がハゲましの言葉を贈ります。

〈薄毛・尻顔・赤ら顔という三重苦を抱えるのは猿界広しといえどもわれわれだけでしょう。でも驚くなかれ、メスに人気があるのはより赤ら顔のオス。これは血色の良さの表れで、「健康そう!」と、強い子孫を残したいメスにモテまくるわけです。毛が薄いほど顔の面積も大きくなるので、ハゲも大切なモテ要素。(中略)最近はその強烈なビジュアルから人間界でも人気急上昇中です。何の特徴もないフツーな顔より、薄毛でも個性があったほうが印象に残りますし、思わぬきっかけでチャームポイントに転じることも。〉
※引用:小林百合子・文、今泉忠明・監修『いきもの人生相談室 動物たちに学ぶ47の生き方哲学』(山と渓谷社、2018年刊)

古今東西の賢人たちはハゲの悩みに何と答えてきたのか?_d

「『ハゲ=カッコ悪い』という先入観を捨て、ひとつ個性が増えたと思って前向きに捉えてみては?」とも。たしかにそのとおりです。本人が否定的に捉えている限り、ハゲてしまうことは悲劇ですが、言ってみれば毛がなくなるだけのこと。命が脅かされるわけではありません。「ハゲウアカリの世界ではハゲているほうがエライ」と念入りに自分に言い聞かせれば、ハゲをプラスの個性として捉えることができるでしょう。たぶん。

何人かが言ってくれているように、ハゲたらモテなくなるわけではないし、毛があればモテるわけでもありません。ハゲること以上に怖いのは、ハゲに強いコンプレックスを抱いて卑屈になったり暗くなったりすることです。そして、ハゲをバカにしたくなる誘惑にも、男女を問わず十分に警戒したほうがいいでしょう。天は「ハゲ」という存在を通して、すべての人間に大切なことを教えてくれているのかもしれませんね。

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(イラスト、マンガ/ザビエル山田)