女性たちが「ステキ!」

脳科学者の茂木健一郎さんなら、画期的な解決策を示してくれるはず。脳と髪の毛は近所だから、きっと造詣も深いことでしょう。「僕はハゲています。若ハゲです。コンプレックスで自分自身つぶされそうになります」と悲痛な叫びをあげる32歳男性。「僕はどのようにハゲをとらえていけばよいでしょうか」という相談に対して、茂木先生は女性を笑わせることができる人はモテると説きつつ、「『若ハゲ』は、実はチャンス!」と断言します。

〈すべての笑いの中で、もっとも価値があるのは、自分の欠点、ダメなところを乗り越える笑いです。(中略)若ハゲになってしまったこと自体は、残念かもしれませんが、メタ認知(自分を外から見ているかのように客観的に観察する脳の働き)の階段を上がって、自分の劣等感を見つめ、笑いを通して生きるエネルギーに変えるチャンスであるとも言えます。最初は難しいかもしれませんが、少しずつ、チャレンジしてみてください。必ず、女性たちが「ステキ!」と目を輝かせるような、魅力的な人になると思いますよ!〉
※初出:月刊誌「第三文明」(第三文明社)の連載「茂木健一郎の人生問答――大樹のように」。引用:茂木健一郎著『脳科学者茂木健一郎の人生相談』(第三文明社、2014年刊)

そんなに念入りに「ダメ」とか「残念」と言わなくてもいい気はしますが、救いを与えてくれる回答ではあります。茂木さんはカツラの人を例に、どう劣等感を乗り越えればいいかを指南。夏の暑い日に、待ち合わせた喫茶店に入ってきたとたん、さっとカツラを外して「暑い日には、カツラはつらいねえ」と言いつつ、おしぼりで頭を気持ちよさそうにふく――。「こんな人がいたら、私たちは、この人は乗り越えている、さすがだ、と思うんじゃないでしょうか?」と言います。思うでしょうけど、実行するのは容易ではありません。

古今東西の賢人たちはハゲの悩みに何と答えてきたのか?_c