最多13試合に出場「攻めのシーズン」

2023年4月、東京体育館。今シーズンを締めくくる世界国別対抗戦の演技が終わった直後だった。

「魂をひとつ増やせたかなって」

三原舞依(23歳、シスメックス)は独特の言い回しで、激闘を振り返った。

三原舞依「この瞬間を待っていたんだ」 感謝を力に変えた大躍進のシーズン_1
今年3月、世界選手権フリーの三原舞依
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自己最多のシーズン13試合に出場。連戦もあり日程的に厳しい条件の中で、強く輝く姿を示した。

グランプリ(GP)シリーズは2連勝を飾り、初出場のGPファイナルで女王になった。全日本選手権は自己最高の2位、世界選手権も自己最高タイの5位。キャリアハイのシーズンだったと言えるだろう。

「13試合も出られた喜びがあって。体の状態がどうであれ、どんな状況でも変わらない演技ができるようにやってきました。

うまくいったこともそうでないこともあるんですが、いろんな経験は来シーズンの試合で活きてくるはず。さらに成長して、さらに強い三原舞依を見せられるように」

彼女の演技は胸を打つ――。

2022年10月、兵庫・尼崎。年末の全日本選手権の予選となる近畿選手権に、三原は出場している。

雪の精のような白銀の衣装で、氷上に立った。ショートプログラム(SP)で坂本龍一の『戦場のメリークリスマス』の律動に身をゆだね、ピアノの音を丁寧に一つひとつ拾い、安定した滑りを見せた。

「物語は儚いイメージなので、優しく、力強く、と思って滑っています。今季はできるだけ多く試合に出場し、試合ごとに成長できるように」

三原は1年間のプランを打ち出していたが、8月に優勝した「げんさんサマーカップ」に続くシーズン2戦目だった。試合に出る、課題を見つける、練習で克服する、試合に出る……その連続で質を最大限に高め、成長する計画だった。

「今季は体力をつけたいと思っていて、夏から走り込んだり、ジャンプの回数だったりトレーニングも少しずつ増やしてきました。攻めていけるように心掛けて」

彼女は攻撃姿勢でシーズンに入っていた。