速くてよく曲がる山本由伸のカーブ
上田 一番ストレートが速かったピッチャーは誰ですか。
古田 速さでいうと横浜の(マーク)クルーンです。ストレートの伸びでいうと阪神の藤川(球児)君です。彼のボールは、オールスターゲームともう1回くらい受けたことがありますが、空振りが取れるかどうかは置いておいて、バットに当てても前には飛ばないようなストレートでした。
クルーンのストレートは、少しシュート回転する、僕らで言う〝球が汚い〞ストレートなのでバットには当たります。ただ、キャッチャーからしたら捕るのは難しいです。内からバーンッて伸びてきて、伸びるというのはどういうことかがわかるストレートでした。
上田 カーブは誰がすごかったですか。
古田 カーブは、好みがありますが、緩い、曲がりがでかいのは、中日の今中(慎二)君や、巨人の桑田(真澄)君などですね。
上田 今中さんのカーブも確かに大きかったですよね。
古田 オリックスの星野(伸之)君も緩かったです。キャッチャーの中嶋(聡)君が、素手で捕ったという逸話がありました。コントロールがよくて、あんな緩さでよくストライクを取れるなというようなカーブでした。
上田 現役のピッチャーでは誰がいいですか。
古田 山本(由伸)君でしょう。彼のカーブは、昔でいうとドロップなんですが、縦にビュンッと曲がります。じつは、昔のマウンドというのは、今の倍くらいの高さがありました。たしか1990年くらいまでのピッチャーはカーブがよく曲がっていました。なぜなら、低い位置から投げるよりも高い位置から投げたほうが、ボールはよく落ちるからです。
だから昔はカーブピッチャーが多かったんです。当時は、キャッチャースボックスで構えていると、セカンドベースは見えませんでしたが、今は明らかに見えます。何センチくらい違うのか、正確にはわかりませんが、僕の感覚でいうと20センチは違います。