どれも大切で特別な作品――

――既刊には『メロン課』という『それパク』と同一世界観のお仕事小説があります。二作品に共通するテーマまた、おすすめの楽しみ方などありましたら教えてください。

知財部の話を書こうとなったとき、ふと『メロン課』でなんとはなしに出した『緑のお茶屋さん』の会社を舞台にすれば、特許から商標までうまくカバーできるんじゃないかと思いつきました。なので月夜野ドリンクも、そこに出向してきた北脇という重要な設定も、メロン課あってのものだったりします。北脇の過去には『メロン課』に出てくる南が関わっているので、『メロン課』を読むと、それパクの世界をよりディープに楽しめるかもしれません。

――『神招きの庭』という古代和風ファンタジー作品も、同時に執筆・刊行されていますね。現代舞台とファンタジー、異なるジャンルの作品を同時期に執筆することは難しくはないのでしょうか。

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研究者時代の知人は、わたしがずっと趣味でファンタジーを書いていて、今は本まで出してもらっているとは夢にも思っていないはずです。それパクと神招きの庭は、そういう自分の表と裏を使いわけて書いているところがあるかもしれません。とはいってもどちらも自分の一面に過ぎないので、ふたつの物語には共通する要素もけっこう多いと思いますし、正直に言うと、同時期に書くのはかなり大変でした。

でもどちらも大切で、特別な作品です。