支援制度とウクライナ人を利用して
詐欺をはたらくグループも

今や、清水氏は理事長を解任され、ルニンさんをはじめとする一部の学生も学校を去った。このような悲しい結末を生んだ原因は何なのだろうか。前編にも登場した支援団体の関係者が語る。

「問題の根本は、日本政府が避難民受け入れに関する統一した規定を示していないこと。とりあえず、避難民の受け入れだけ決めて、あとは市町村に丸投げ状態だから、市町村ごとに支援内容が違っているんです。無責任というほかない。

もちろん、清水氏の発言や偏った考えは、人道的に問題な部分もある。でも、授業料に関する補助金がコロコロ変わったら、学校側も困りますよ。お金目当てだろうが何だろうが、3か月なら3か月、半年なら半年。明確な期限と金額が、国として一本化できていれば、こんなことは起きてないはず。
前橋市も、ニッポンアカデミーも、それからウクライナから来た学生たちも、みんな政府の無策に振り回されているのです」

このことによって、すでに各所でトラブルが引き起こされているという。

「例えば、避難民が身元保証人を変え、別の自治体に移ったら、また新たにお金が入る仕組みになっている。この仕組みを改めないと、お金を狙った輩が出てきても仕方ない。実際にそういう避難民は何人もいて、彼らを指導していると思われるグループもいるんです。

「ユーアーシャラップ!」日本語学校元理事長が説明会でウクライナ避難民に暴言連発! なぜ支援金問題が勃発したのか。政府の無策のせいで支援金詐欺をするグループも_7
『NGO ウクライナ フレンドシップ サポーターズ』作成の報告書でも支援金を不正に受け取る例に言及している
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日本人にとっての20万円は、ウクライナではその10倍、つまり200万円もの価値がある。非戦闘地域から支援金をもらうために来日して、観光して帰る“避難民”だって実際にいるし、支援物資を転売している“避難民”もいる。
本当に困っている人のための支援になってないことが問題の核心でしょう 」(支援団体関係者)

ウクライナ難民学生は、絶望の中にもわずかな希望を求めて日本に来たはずなのに……。
この問題を機に難民への支援制度の整備が進むことを願う。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
資料提供/「NGO ウクライナ フレンドシップ サポーターズ」理事、加藤秀一氏

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