2021年の夏から患者数は増加している

梅毒はトレポネーマという病原菌が、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などによってうつる感染症です。
梅毒は昔の病気というイメージがあるかもしれませんが、実はここ最近患者数は増えています。

メディアなどでも昨年から梅毒患者の急増が報道されていますが、当クリニックでは2017年から統計を取り始めていて、2019年、2020年はいったん減少したものの、2021年の夏頃から再び患者数は増えてきている傾向です。

キスで感染するの? 一緒に入浴したらうつるの? 誰もが感染する可能性がある「梅毒」について知っておきたいこと_1
出典:新宿レディースクリニック
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統計を取り始める前の2016年以前は、梅毒で検査や診察を訪れる人は年間で数える程度でしたが、今は「梅毒の検査」を希望される方は珍しくありません。
当クリニックでも“梅毒が流行っていると聞いて心配になったので検査したい”“パートナーに言われて検査に来た”という人がここ最近は増えてきています。
圧倒的に20代前半の女性が多く、次いで20代後半の女性となっています。

梅毒は3~6週間の潜伏期間を経て、さまざまな症状が出ます。
初期の症状としては、感染がおきた部位(主に陰部、口唇部、口腔内、肛門等)にしこりができたり、足の付け根の部分のリンパ節が腫れたりすることがあります。
この時期は他の人に感染させやすい傾向です。痛みやかゆみがある人がいる一方で、痛みがないという人もいて、とくに治療をしなくても症状は自然に軽快します。

しかし体内から病原体がなくなったわけではないので、治療しないまま3カ月以上経過すると、手のひら、足の裏、体全体にうっすらと小さなバラの花のような赤い発疹(バラ疹)が出ることがあります。この全身の発疹はアレルギー、風しん、麻しん等に間違えられることも。
発疹は治療をしなくても数週間以内に消える場合がありますが、抗菌薬で治療しない限り、梅毒が治るわけではありません。
この時期に適切な治療を開始しなかったことで、数年後、臓器の障害に繋がり、場合によっては死亡に至ることもあります。

また、妊娠している人が梅毒に罹っている場合、赤ちゃんに感染し、脳や神経などに異常をきたす先天梅毒の症状が見られるとされています。