「死ぬ覚悟」なんて言っちゃいけない

反則なし、自由に凶器が使える「ノーDQデスマッチ」でデスペラードに敗れた葛西は、試合後、マイクをつかんでデスペラードに語りかけた。

「お前よ、オレッちと試合をする前に、こう言ってたな? 『燃え尽きて、死んでもいい覚悟でリングに上がる』ってよ。バカ野郎!

世の中には死にたくて死ぬヤツなんていねぇんだよ。生きていたいのに、死ななきゃいけねぇヤツ、生きたいのに死んじまうヤツがゴマンといるんだよ。お前みたいに最高の人生を送っているヤツが死んでもいい覚悟でリングに上がるなんて言うなよ! 俺たちは死んでもおかしくねぇリングに上がって、生きて生きて生きてリングを下りなきゃいけねぇんだろうが!

死んでもいい覚悟なんて捨ててしまえ! 死んでもいい覚悟なんていらねぇんだよ。そうすれば、お前はもっと強くなる」

精魂尽き果てた試合直後、コーナーに座り込み、血まみれになった全身から葛西は言葉を振り絞った。あれから半年あまり。葛西はメッセージの真意をこう明かす。

「世の中には、生きたいのに死んじまうヤツがゴマンといる。死んでもいい覚悟なんていらねぇんだよ」数えきれないほどの傷を負ってきたプロレスラー葛西純がデスマッチで闘い続ける執念_3
ゆっくりだが、淡々とハッキリした言葉で語る葛西選手

「常日頃から自分は『死ぬ覚悟』とか言うヤツは、カッコつけのような中身のないヤツだと思っているんです。なぜなら、あらゆることに恵まれたこの時代にこの国に生まれてきた人間が死ぬ覚悟なんて持てないし、持っちゃいけないんですよ。
しかも、我々みたいに好きなことをやってお金をもらっている人間がリング上で危険なことをやっているとはいえ、死ぬ覚悟なんて言っちゃいけないんです」