放課後、友だちに遊びに誘われても…
当時の指導者にとっても、チームのOB・山本由伸という存在はやはり特別だ。今回話を伺った4人の指導者それぞれに、教え子への思いを伺った。代表の藤岡さんは、こう語る。
「今もチームに帰ってきてくれるのは本当にうれしいです。彼が、この河川敷のグラウンドを原点と思ってくれているのであればありがたいし、まだ若いですから、これからも長くプレーしてほしいですね。日本人としては日本でプレーを続けてほしいなという思いがある一方で、メジャーリーグで投げている姿も見てみたいな……という複雑な気持ちです(笑)」
監督の中田さんは、「とにかく、長くプレーをしてほしい」と願っているという。
「日本であれアメリカであれ、少しでも長く、たとえば40歳まで投げ続けてほしいです。ファンはもちろん、チームにいる後輩の子どもたちの目標でい続けてほしいと思いま すね」
当時、チームでマネージャーとしてチームの記録をつけていた副代表の豊田さんは、「ケガには気を付けてほしい」と、教え子の体を気づかった。
「中学時代に腰を痛めた話もありましたけど、野球選手にとってケガは一大事ですし、 体を大事にしながら、それこそ200勝するくらいの活躍を見せてほしいですね。まだ24歳なので、これからもずっと由伸のプレーが見られるのを楽しみにしています」
コーチの片山さんは「自分の道を貫いてほしい」とエールを送る。
「誰に何を言われようが、『俺は山本由伸だ』という道を歩き続けてほしいです。数字云々ではなく、彼にしかやれないことをやってほしいですね」
ちなみに、片山さんの息子・飛雄馬さんは山本少年と同級生で小学校、中学校と同じチームでプレー。片山さんは中学だけでなく、小学校時代もコーチとして山本少年を指導した経験がある。
「小学校1年生から知っていますけど、当時から野球小僧。野球しか興味がない、という印象が強いですね。放課後、友だちに遊びに誘われても『野球やるから』と断っていたという話を聞いたことがあります。
それくらい、野球が好きだったんでしょうね。もちろんそれは、小学校、中学校、私たちが見ていない高校以降も変わっていないんだと思います」