脂肪中毒のさまざまな例
●「スリム体型で食事に気を使っているのに」
【Aさん 女性40代後半】
Aさんは40代前半の女性です。見た目はまったく太っていません。スリム体型ですが、少し下腹はぽっちゃりしてきました。大きな病気を患ったこともなかったため、まともに健康診断を受けたことはありませんでしたが、久しぶりに受診してみると、コレステロール値、中性脂肪値がかなり高いことが発覚。いわゆる隠れ肥満でした。
暴飲暴食も、あぶらっこい食事もしていない。でも、大のスイーツ好き。脂質中毒の原因はこれでした。
「自分は大丈夫」と思っている人が、知らず知らずのうちにヤバい状況に陥っている、典型的なパターンです。
●「体の不調の原因は更年期だからとあきらめていたが」
【Bさん 女性50代前半】
Bさんは50代前半の女性。彼女は、日常的にカロリーや脂質に気をつかっています。外食は控えめ。食事は野菜と魚が中心。美意識も高いほうです。にもかかわらず、じわじわと体重は増加し、体型もふくよかに。体の不調を感じるようになりました。
「更年期だから仕方ないか……」と、なかばあきらめていましたが、原因は別にありました。Bさんの主食は、ご飯(お米)ではなくパンが中心だったのです。
絵に描いたようなパンマニアで、都内の有名店を渡り歩き、話題の商品を一度は買って試してみる。そんな日々を送っていました。
こちらも、まったく自覚がないまま脂質中毒になっていたというパターンです。
●「体育会系のスポーツマンだからと油断していた」
【Cさん 男性40代前半】
学生時代はラグビーに没頭。体づくりと体力維持のため、当時の食事のボリュームはヘビー級でした。焼肉とラーメンが大好物。これだけ食べても運動量がけた違いだったので、太ったり、健康を害したりということはありませんでした。
社会人になり、運動量は確実に減りましたが、学生時代の習慣は抜けず、食事はあぶらっこいものが多く、飲んだあとの締めのラーメンをたしなむこともしばしば。いつしか「たまにはいいでしょ」が口ぐせになっていました。それでもガッチリ体型は変わらず、危機感を覚えることもありませんでした。
しかし、40代を迎えて初めて受けた本格的な人間ドックの結果はガタガタでした。脂質に関係する項目は軒並み厳しい数値が出たのです。
Cさんのようなケースは、学生時代にスポーツをやっていた体育会系の男性によく見られます。外見に大きな変化はなくても、筋肉がいつの間にか脂肪に変わっているのです。現役時代の感覚をリセットせずに年を重ねているという自覚のある方は、本当に気をつけてください。
●ふだんからじゅうぶんに気をつけている、と思っている人が危ない!
AさんやBさんに共通するのは、ぱっと見は脂質を多く摂っているという印象
を受けない人だということ。ここに落とし穴があるのです。
脂質中毒は、Cさんのようにある程度の自覚がある人だけでなく、ふだんは意識していない人にも、思わぬ死角から忍び寄ってきます。