児童虐待における加害者の3人に1人は養父

虐待事件において、養父や内縁の夫が加害者になるケースは昔から一定数を占めていた。
警察庁の「令和3年版犯罪白書」によれば、児童虐待にかかわる犯罪で検挙された人のうち、「父親等」が71.4%を占めている。この父親等のうち「実父」の63.9%に対し、「実父以外の養父や母親の内縁の夫」が36.1%を占めているのだ。実に3人に1人が血のつながりのない父なのだ。

《児童虐待の3人に1人は養父や内縁の夫が加害者》あきる野市5歳児死亡、目黒区5歳女児虐待死だけではない。児童虐待事件における養父の存在_1
出典「令和3年版犯罪白書 児童虐待に係る犯罪」
すべての画像を見る

さらに「強制性交等」になると、この傾向は顕著になる。全加害者のうち実父が47人に対し、実父以外の父親的立場の男性が72人と有意に高くなるのだ。なぜ男性は、血のつながりのない子供に暴力を振るうのか。30年近く児童相談所に勤務する男性職員は次のように語る。

「一番よくあるパターンは、母親が未熟であるケースですね。そういう女性が若いうちに離婚してしまうと、真っ当な仕事に就くことが難しく、キャバクラや風俗店などに流れることが多いです。彼女たちはそこで知り合う男性と恋仲になって家に連れ込むのですが、えてして男性の方もタチが悪く未熟です。そうしたことで虐待が起きてしまうという流れがあります」

全体的に見れば、夜の街で働く男性でも、恋人の連れ子を寵愛する人の方が多いだろう。私自身も取材の過程でそんな養父たちの深い愛情を何度も見てきた。

しかし、虐待現場だけに光を当てれば、残念ながらこうした現実が一定数あるのも事実だ。
私自身が取材をしていて感じるのは、男女が深い愛情ではなく、まったく別の目的でつながっている場合に、虐待が起きやすいということだ。

たとえば、男性の側が金銭や違法ドラッグ目的で女性と付き合っているケースがある。風俗店で働いている女性の金を目的に家に転がりでこんでいる男性や、女性を覚醒剤づけにして性の玩具としている男性だ。