寝る時間も食べ物も与えられずに衰弱死

さらに別のケースとして、先述の児童相談所の職員は語る。

「あまり知られていませんが、男性が血のつながっていない子を一人前に育てようとするあまり体罰をするケースも時々見ます。勉強や習い事や行儀など日常の細かなことにまで口出しし、暴力を振るったり、束縛しようとしたりする。この場合は、男性は自分は子供を教育しているのだと考えており、虐待の自覚がないので、解決が厄介です」

私がルポした中で思い出すのが、2018年に起きた目黒区5歳女児虐待死事件。5歳の船戸結愛ちゃんが殺害された事件だ。犯人の雄大(当時33歳)は、キャバクラで知り合った結愛ちゃんの母の優里(同25歳)と結婚した。雄大は初婚、優里は再婚だった。新しい家庭で、雄大は養父という立場で結愛ちゃんを育てることになった。

結婚にあたって雄大は問題を抱えていた。実家の親から子持ちの水商売の女性と籍を入れることを反対されていたのである。まともに子育てができるわけがないと見なされていたらしい。

雄大はそんな事情もあって、血の繋がっていない結愛ちゃんをエリートに育てようとした。そして毎日のように体重管理をし、寝る時間さえ奪って勉強をさせた。結愛ちゃんを一人前にすることが養父としての自分の役割だと信じて疑わなかったのだ。

だが、雄大のする「しつけ」は、生来のプライドの高さや常識の欠如ゆえに暴力となって結愛ちゃんを苦しめた。そして結愛ちゃんはダイエットと称してほとんど食べ物を与えられないまま衰弱死したのである。

《児童虐待の3人に1人は養父や内縁の夫が加害者》あきる野市5歳児死亡、目黒区5歳女児虐待死だけではない。児童虐待事件における養父の存在_2
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裁判の中で、雄大は亡き結愛ちゃんに対してこんな言葉を発した。

「親になろうとしてごめんなさい」