初心者におすすめな「帰り道の徘徊」

――それって徘徊力というか、サバイブする能力ですよね。

よく言えばサバイブ能力ですけど、悪く言うと無責任っていう。それに毎回、巻き込まれている人たちは大変ですよ(笑)。

――私は無目的でいるのが苦手で、どうしても計画しちゃうんです。でも計画すると、その通りに行かないとへこむし、日頃の生活や人生でも、不測の事態に弱いなって思います。

無目的に歩くのをやってみたらいいと思いますよ。この本の取材をしていただいている皆さんに勧めてるのは、買い物とか友達とご飯食べに行った後とかに、電車で帰るんじゃなくて、家に向かって歩いて帰ってみること。歩けなくなったら最悪、タクシー乗っちゃえばいいわけで。

家からわけのわからない方向に歩いてみるのはしんどくても、家に帰るっていう目的があるなら歩けるでしょ。まず歩いて帰ってみるのをやると、けっこう面白いですよ。

――そうですね。帰り道からチャレンジして、生き方もちょっと考え直します。

そこまで切羽詰まんなくていいでしょ(笑)。

後編につづく

#2 すべての肩書がとれたピエール瀧が大切にする表現者としてのマナー

取材・文/川辺美希 撮影/南阿沙美