俳優も従業員に採用
「飲食店はやっぱり大変ですよ。特に焼肉屋の汚れは頑固で。ここは定期的に清掃するからまだいいですが、単発で清掃に入るラーメン屋なんて本当に大変。個人宅ももちろんやりますよ。『どこが不景気だよ!』ってくらい広い家に行くこともあれば、『マジか……』となるくらい汚い家もあります」
キッチンの用具をばらし、部品は熱湯につけて、1か月で蓄積された油汚れ等々を浮かしている間に、ガラス部分や細部をスポンジで目一杯こする。一般家庭なら大掃除でしかやらないような大掛かりな作業だ。
この日、入江とともにこの現場の清掃に入る従業員は1名。入社2年目の三浦孝太さん、38歳だ。えらく男前だと思ったら、それもそのはず。彼は大河ドラマ『軍師官兵衛』やWebドラマ『仮面ライダーアマゾンズ』にも出演経験のある元役者なのだ。
コロナ禍で仕事が激減して進退に迷っているときに、極楽とんぼ・山本圭壱のYouTubeにゲスト出演した入江の姿を見て感動。SNSで本人に直接連絡を取り、面接の結果、ピカピカの一員となった。
「設立当初は僕ひとりだったんでめちゃくちゃ大変でしたよ。荷物を運ぶのもひとりだし、事務仕事も全部自分。目が回るような毎日でした」
そう振り返る入江だが、気づけば今や社員4人に増えた。三浦さんのほか、元自衛官や施設育ち、フィリピン人の元看護士とさまざまな生い立ちをたどってきた人ばかり。清掃業務の負担は軽減したが、当然、入江の責任は増す。