――今後はどんな作品を生み出していきたいですか。そして、いよいよプロとしての第一歩を踏み出す今、氏家さんにとって「書く」ことの意味は?
今後はとにかくいろんな作品に挑戦してみたいと思いますが、これまで『双蛇に嫁す』を含め、自分とは完全に切り離した作品を書くことが多かったので、もう少し自分に近い、自分が実感をもって語れる物語を書いてみたいです。
とはいえ、次回作の構想はまだこれからですので、担当さんと相談して、読者の読みたいものと自分が書きたいものを両立できるよう考えていきたいです。
今回、『双蛇に嫁す』が受賞し文庫化されるチャンスをいただいて、改稿を通して、プロとして書くために必要な様々なことを学びました。公募時代はとにかくたくさん書くことを最優先していましたが、今後はそれだけではだめだなと。改稿作業で得た学びを生かして、作品の質を強化していきたと思っています。
私は、書くことが好きです。書いている最中はキツくて苦しいことも多いんですが、でも何のために書くかというと、やっぱり「楽しいから」。自分でも矛盾しているなと思いますが――。
子供の頃から人見知りで、人とリアルなのコミュニケーションが苦手だった自分にとっては、創作物を読むことが日々を生きる原動力ですし、自分は物語に対して恩があると感じています。そんな物語に対して、自分が語り手になることで、少しでも恩返しがしていけたら嬉しいです。
〈ノベル大賞 カズレーザー賞受賞〉新星・氏家仮名子がデビュー作で目指した、少女小説としてのファンタジーとは
集英社オレンジ文庫が主催するノベル大賞で、2022年ゲスト審査員賞である〈カズレーザー賞〉に選ばれた氏家仮名子さん。とにかく書くことが好きで、がむしゃらに公募を続けてきた末にデビューを勝ち取った氏家さんが描く、少女小説の未来とは。