収容所職員の受け取る賄賂は年収の3~4倍

収容所内で自由を謳歌するどころか、金さえあれば本当の自由の身になれたという。暴力団関係者は続ける。

「あそこは刑務所ではなく収容所。当時は5000万円ぐらい所長に払えば、収容所から解放してもらえたそうだ。非常に高額だが、毎月、部屋代などをなんだかんだと払うことを考えれば、5000万円払って外に出たほうがいいという者もいたようだ。しかし、解放されたとしても日本に帰国するつもりは全くない」

〈連続強盗犯指示役・帰国〉運び屋暴力団関係者が明かすビクタン収容所の驚きの実態。「職員は実はエリート。働いていれば年収の3~4倍の袖の下が…」_3
収容所内の様子

その後、何年経っても収容所の堕落した体制はほとんど変わらず、スマホが普及しても、「収容者たちがスマホを何台持っていようと職員にはそんなことは関係ない。その電気代を払っているのは国。自分たちの懐が痛むことはない。部屋を個室のようにして収容者から家賃を取れば、それは自分たちのポケットマネーになる」 

日本人なら、汚職が横行している施設は管理が杜撰とみなし、平気で賄賂を受け取る職員らを悪徳でだらしない人間と考える。『天国から来た男たち』のAmazon Prime Videoの作品紹介でも “日本人的尺度の通用しないアジアの混沌、犯罪者の巣窟”という表現が使われていた。

しかし、暴力団関係者は「それは日本人の感覚だ」と説明する。「職員を金で転ぶようなルーズな連中だと思うだろうが、施設の職員は向こうならある程度のエリートだ。選ばれた人間がなっている」という。

〈連続強盗犯指示役・帰国〉運び屋暴力団関係者が明かすビクタン収容所の驚きの実態。「職員は実はエリート。働いていれば年収の3~4倍の袖の下が…」_4
日本人収容者と職員

「収容所の仕事は、他で副業をやらなくても、自分の職場で副業ができる“おいしい仕事”なんだ。無理をしなくても、働いていれば年収の3~4倍は袖の下で入ってくる。担当した収容者が金持ちなら、なおラッキーだ。
職場で副業ができるのだから、賄賂が簡単になくなることはない。施設や職員としては今回のような騒ぎになってほしくなかったのが本音。今は日本のメディアが入って、世間や人目がうるさいから取締りを強化するというパフォーマンスをしたのだろう。ただし、実情は今しばらく賄賂を受け取るのはやめおこうというくらいだろう」

日本の刑務所や入国管理局の施設は、世界で最も管理や規則が厳しいといわれる。そんな日本とは感覚がまるで違うと暴力団関係者は話す。