札幌地裁が1月17日付でグループ3社の破産手続き開始を決定した。中核である「INDETAIL」の売り上げが減少する中、「クリケットファーム」の食用コオロギ養殖事業も軌道に乗らず、昨年末には事業停止していた。

札幌出身の起業家が2009年に「INDETAIL」を創業、スマホアプリ開発やソーシャルゲームの運営、ブロックチェーン開発など次々に新しい分野に参画。2021年8月に「クリケットファーム」を立ち上げて昆虫食ブームを巻き起こそうとしたが、わずか2年半で頓挫した形だ。

乾燥コオロギのパウダー(撮影/集英社オンライン)
乾燥コオロギのパウダー(撮影/集英社オンライン)
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コオロギ食については、2022年11月、徳島県立小松島西高校で乾燥コオロギの粉末入りの「かぼちゃコロッケ」を校内調理して給食として提供、2023年2月にはコオロギエキスを使った「大学いも」を提供したが、これらが報じられると全国で議論が紛糾した。

原材料は徳島大学発のベンチャー企業が提供していたもので、同社の広報担当者は同3月、集英社オンラインの取材にこう答えていた。

「今回の試食は弊社としてはコオロギ食をいろいろな方に知ってほしいという思いからでした。学校側はSDGsについてのいい教材だと考えていたのだと思います。日頃より『コオロギを食べて菌とか大丈夫なのか?』『虫なんて食わすな』『発がん性は?』といったお問い合わせや誹謗中傷もありますが、未知のコオロギ食に対してそう思われるのは不自然なことではないと捉えています」

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2022年に徳島県内の高校で出された給食

世界人口が80億人を突破する現在、いずれ家畜を飼育する飼料も不足し、肉などからタンパク質を確保することが難しくなるため、近い将来は昆虫食にも頼らざるをえなくなる、ともいわれていたが、広報担当者はこう続けた。

「牛乳の廃棄問題をはじめ、食品ロスの問題や代替肉など、食糧危機に関してできることはすべて取り組むべきだと考えています。その一環として弊社はコオロギ食に取り組んでいますが、コオロギ食がすべてだと考えているわけではありません」

数ある昆虫の中でなぜ「コオロギ」を選択したのかについては、こう答えていた。

「食肉に比べて食用コオロギはタンパク質の含有量が多く、その上、畜産と違って餌の量や水も少なくてすみます。しかもバッタなどとは違い、コオロギは雑食なんです。人間と似たような物を何でも食べるのでコストを抑えて飼育ができます。そうはいっても弊社では飼育方法や餌に関してもこだわっていますから、現状、コストは高いです。当社では小麦粉ふすまをベースに食品残渣を餌に用いています」