「使い捨てかよ」現場の個人事業主から怒りの声

事の発端となったのは、今年6月に締結されたヤマト運輸と日本郵便の協業発表だった。

ここで締結された基本合意書によると、ポストに投函できる「クロネコDM便」は来年1月末に、「ネコポス」は来年度末までに終了し、代わりに「クロネコゆうメール(仮称)」としてヤマト運輸ではなく、日本郵便の配送網で届けることになる。

両社は、トラック運転手不足が心配される“2024年問題”を見据え、「持続可能な物流サービス」を推進するために協業を決めたという。
そんななかで明らかになったのが、ヤマト運輸から小型荷物の配達を委託されている個人事業主への事実上のリストラ通告だったという。
全国紙記者はこう解説する。

「ヤマト運輸は営業所を各地に多く構えている地の利を生かして、クロネコDM便やネコポスといった小型荷物の配送を個人事業主に依頼してきた。
しかし近年では、ヤマト運輸にとってこれらのサービスは単価も低く利益が出しにくいものに。営業所を1ケ所に集約することで経営効率化を急いでいたため、今回の契約終了にいたったのだろう」

ヤマト運輸の営業所
ヤマト運輸の営業所
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一部報道によると、ヤマト運輸はすでにリストラ対象となる個人事業主に終了方針を伝えており、今後は転職支援サイトを設けて求人情報を提供するほか、1人あたり3~7万円の「謝礼金」を支払うという。

このヤマト運輸の決定に、現場で働く人たちはなにを思うのか。

豊島区内のあるヤマト運輸の営業所にて、小型荷物の配達を5年続けているという個人事業主の60代男性は、集英社オンラインの取材で怒りをにじませた。

「もう6月の協業発表の時点で、本部の人に『1月まではよろしく』って言われて、事実上のクビ宣告を受けていました。もちろん『ふざけんな!』って思ったし、同じように委託されている同僚たちも『使い捨てかよ!』と怒ってました。
でも、たしかにここ数年は、委託業者が増えてきて、小型荷物の取り合いみたいな状況になっていました」