「この服でも私は電車に乗るタイプです」
ことの発端となったのは8月12日、藤川らるむさんがX(旧Twitter)に上記のコメントとともに投稿した、胸の谷間が強調されたワンピース姿の彼女本人の画像。
この投稿はたくさんの賞賛コメントがつく一方で、「節度が大事」「痴漢されても文句は言えない」と否定的なコメントも多く、炎上状態に。
「派手な服装はむしろ痴漢被害にあいにくいんです!」“股下83センチ”で話題の藤川らるむが、露出度の高い服を着る女性の“自己責任論”に真っ向から反論
身長168センチ、股下83センチのクォーターモデル、藤川らるむ(20)。抜群のスタイルを持つ彼女だが、現在、思わぬかたちで注目を集めてしまっている。それが“女性の露出度の高い服装論争”だ。直撃インタビューで、実際に性被害にあった経験もふまえて、改めて反論したい気持ちを語ってくれた。
「投稿で服装による偏見を持つ人が多いと知ることができた」
この服でも私は電車に乗るタイプです。 pic.twitter.com/2KwNzoa3vn
— 藤川らるむ (@ralumu_00) August 12, 2023
同月14日、韓国の女性アーティストDJ SODAが音楽フェスのパフォーマンス中に観客に体を触られたことをSNSで告白して国際的な騒動に。
すると、らるむさんも「(日本が)痴漢大国ってこと、そろそろ自覚した方がいいです。 iPhoneのシャッター音が必ず鳴るのは日本だけですよ。なぜか分かりますか? そんなことが起きてるのめちゃくちゃダサいと思いませんか?笑」とXで反応。
いつしか世間は「露出度の高い服は危険」「どんな服を着ようが女性の自由」という意見に分かれて論争が勃発。そのさなかで、「普通に犯罪者が10000万%悪いし 私が犯罪者のために好きな服着る気持ち制限するの、なぁぜなぁぜ?」などと、らるむさんは女性の服装の自由を正面きって主張している。
この過熱の一途をたどる議論の渦中で、彼女が声を上げ続ける理由とはなんなのか。
直撃インタビューを行った。

――そもそも8月12日になぜ露出度の高い服装で電車に乗る写真を投稿しようと?
藤川らるむ(以下、同) 以前から露出度の高い服を着た写真をSNSに投稿すると、注意するようなコメントを書かれることがありました。でも、着てる側にも非があるという考えにはずっと納得してなかったんです。
そのときの服装も投稿したらまたいろいろ言われるはずだから、反論してみようという気持ちで。
それが予想以上の反響となって、驚きましたね。
それと同時に、露出度の高い服装は性被害をまねくと思っている人が多いことに気づけました。
「影響力をつけて発信すれば何かを変えられる」
――実際に反論してみて、納得してもらえましたか?
女性からはかなり共感されましたが、過半数くらいはまだ否定的でした。
「強盗するほうが悪いけど、誰しも鍵をかけるといった対策はする」という意見もあって……。でも、こっちは既製品の服を着てるだけなので、それはちょっと違うと思います。

インタビューに応じる藤川らるむ
――もちろん性被害は加害者が全面的に悪い、しかし、そういった自己防衛のために服装を変えろという意見も多かったですよね。
いくらこちらが服装を変えたとて、やる人はやるじゃないですか。そんな加害者のために好きな服装を諦めるのは納得がいきませんね。
それに、実は地味な服装のほうが狙われやすいことをまずはわかってほしいですね。
私も痴漢被害を数回経験していますが、スッピンとか学生服、ジャージやパーカーなど、地味な格好のときばかり狙われてます。
派手な服装が逆に自己防衛になってるんだぞ、と。
――痴漢以外の性被害にも過去に経験しているとうかがいました。
保育園児のときに、ゲームセンターで知らないおじさんにキスされて「内緒だよ」って言われたのが最初です。
小学生の時は近所に住むおじさんに胸を触られましたし、中学生では非常勤の先生に呼び出されて、体を触られてキスされて……。
でも誰にも言えませんでしたし、「自分が悪いのかな」「大人の男性と関わるってこういうことなのかな」って考えを持つようになってしまいました。

――それは男性不信になりそうです……。
今は頼れる大人とも出会えて男性に対する考え方も変わりました。
過去に私に性加害をしたような男性ばかりじゃないと気づけたんで、世間の考え方も変えられるんじゃないかと思ってます。
だから、もともと興味のあった芸能界で影響力を持つことができたら、私の発信で少しでも何かを変えられるんじゃないかと。
「“痴漢”って専用の言葉があるのは日本だけ」
――そんな目標があって芸能界に入られたんですね。
性被害にあってはしまったものの、「私みたいなのでも好きになって、応援してくれる人がいるんだ。だったらそれを何かを変える力にしよう」って考えも出てきました。
芸能界って何もなくても入れる世界でもあるじゃないですか。私は幼少期、男の子に間違われるような見た目だったけど、小学校高学年から容姿を磨くようになったんです。それで中学生になったら“いつか仕事につながるかな”と、SNSでよく知らない作品のコスプレを投稿したり、撮影会にも参加してました。

――日本を“痴漢大国”とポスト(ツイート)していました。
「痴漢」って言葉は日本でしか聞かないんですよ。そんな専用の言葉があるのも恥ずかしいことだし、それに痴漢とか性被害にあった女性に対して、「あなたも悪いよ」と追い打ちをかけるなんてどうかしてるし、ありえない。
いじめられる側にも問題があるって考えと似てると思います。
今回の件で私の意見がまだ劣勢にも感じたので、それがまずは逆になるべきですね。そうしたら被害を相談できる女の子も増えるだろうし、被害者に優しくする人が増えて、自分を責めてしまう女の子がいなくなるんじゃないでしょうか。
――実際、芸能人になって、影響力を持って発信してみてどうですか?
少し話題になって議論みたいなことになったんで、やっぱり人の目につくことは大切だなと改めて思いました。
でもまだまだ自分は力不足なので、性被害に対する認識を変えるために発信は続けていきたいです。

――SNSでの発信以外で何か行動を起こすことは考えていますか?
全然まだ考え中で、目標にはなっちゃうんですけど、私自身、バストアップの美容サロンでも働きながら勉強中なので、美容系などでSNSのブランディングに関係したお仕事をして、女性がきれいになって自信をつけられるお手伝いができたらと思ってます。
自信がつけば性被害にあっても、自分を責めることなく抵抗できるんじゃないかなと思うので。
男性に頼るのはいいけど、依存すると何もできなくなる。しっかりとした軸を持った女性像を私も目指してるし、そんな女性を増やしていきたいです。賢く可愛く生きるみたいな。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 撮影/村上庄吾
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