前回は愛犬、今回は古いフィルムカメラを
車中泊の旅に連れていった理由

激安で購入し、自力カスタムを施した、スズキエブリイ号による僕の車中泊旅。
第一回目は、8月下旬に8泊9日で東北地方を一周した。
その旅には、我が家で飼っている二頭のうちの兄さんドッグ、ミックス犬のクウを連れていった。
旅に犬を連れ出したのは、ひとつの明白な理由があった。
いい年こいて人見知り気質、今風に言えばコミュ力不足である僕は、見知らぬ土地を一人旅しても人とうまく交われず、旅の最初から最後までずっと無言を貫く可能性が大いにあったからだ。

そんな僕のために、クウは期待通りの働きをしてくれた。
一日中そばにいる彼に話しかけることで癒されたし、何よりも行く先々で、犬をきっかけにロコの人々との会話が生まれたのだ。
しかし最初のうちはよかったのだが、犬連れ旅は長くなるにつれて問題も出てきた。
犬がホームシック状態になり、徐々に食欲と活気を減退させていったのだ。
そこで予定を切り上げ、急遽、東京の自宅に帰還せざるをえなくなってしまった。

人間のエゴに付き合わせてしまったと反省した僕は、第二回目の車中泊旅である今回の岐阜・長野・山梨ルートには、犬を同行させないことにした。
そして考えた末に持ち出した新たな“相棒”は、中判フィルムを使用するクラシックカメラだった。
1969年生まれの僕よりも年をとっている、骨董品のような2眼レフカメラ、1965年製のMAMIYA C33だ。

MAMIYA C33は、本来、旅に適したカメラではない。
何しろ本体が約2キロもあるうえ、クラシックカメラなので絞りもシャッタースピードもフルマニュアル。
シャッターチャンス!な場面に出くわしても、おもむろにファインダーを立ち上げ、露出計を使って光量を計測、カメラのあらゆる設定を決めなければならないので、実際にシャッターを切るまで優に一分ほどの時間がかかる。

しかも、昨今のフィルム代と現像代の高騰から、ワンシャッターのたびに400円前後の金が吹っ飛ぶ。
おまけに解像度は今のスマホカメラに完敗。
条件や設定が難しいので、失敗写真となる確率も高い。