車中泊の旅に出るなら #10

スタインベックのように、愛犬を連れて車中泊の旅に出発

文豪・スタインベックが58歳にして特注キャンピングカーを駆り、母国アメリカを一周する旅をしたとき、同行したのは愛犬である老プードルのチャーリーだった。
スタインベックが旅に犬を連れていった理由は、自分が強面で、しかも社交性に乏しい性格だと知っていたからだった。
犬がいれば、旅先で見知らぬ人と会話をはじめるきっかけになると考え、実際に道中では、チャーリーがたびたびそうした役割を果たしている。

みちのく車中泊の旅で最大の失敗は、犬を連れてきたことだった_01
ジョン・スタインベック著「チャーリーとの旅」新訳版と旧約版
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そんなスタインベックを見習ったわけではないのだが、ちっとも強面ではないものの人見知り気質の僕も、みちのく車中泊の旅に、相棒として愛犬クウを連れていくことにした。
クウはヨークシャーテリアを母に、トイプードルを父に持つ6歳のオスで、飼い主の欲目かもしれないが特別に賢い犬だ。
ときどき、こちらの言うことをほとんどすべて理解しているのではないかと思うほどのクウは、頭がいいだけに神経質、臆病でカッとしやすいところもある。
やたらと頑固だったり、他の犬を威嚇しがちだったりと厄介な面も多い複雑な犬だが、6歳という年齢からか、そうした傾向も前よりだいぶ落ち着き、人間に近い思索的な一面も見せるようになってきた。

ドライブが好きな僕や家族に付き合って、しょっちゅういろいろなところに出かけているので、車に乗ることには慣れている。
本人も、乗ればどこか新しいところに行ける車が大好きで、ドアを開けるとみずから飛び乗ってくるほどだ。
朝夕にたっぷりと散歩をさせてやれば、日中はのんびりと寝て過ごすことが多い大人な犬のクウなら、今回の小さな車でのロングドライブのお供も問題ないはずだと思った。

みちのく車中泊の旅で最大の失敗は、犬を連れてきたことだった_02
東北旅行中の一コマ

ということで、クウと一緒に車中泊東北一周の旅に出たのだが、結論から言えば、犬を連れてきたことは、この旅最大の失敗となってしまった。
次に車中泊旅行を計画するときは、もう犬は連れていかないことにしようと考えている。