「REON POCKET 4」は、ソニーが独自に開発したウェアラブルクーラーです。2020年にクラウドファンディングを通じて商品化され、2023年4月に発売された最新第4世代モデルまで、止まらずに進化を続けています。

ソニーの“着るエアコン”で猛暑を乗り切れ! 経済的にクールダウンできる大人気ウェアラブルデバイス「REON POCKET 4」を使ってみた
2023年は例年より暑い夏が予想されており、すでに連日厳しい猛暑が続いている。いまや屋外に出かけるときは「冷感グッズ」が手放せないが、ソニーが開発した“着るエアコン”が人気を集めている。その最新モデル「REON POCKET 4」は夏場だけでなく、 “ポケットカイロ”として寒い冬にも活躍する便利なウェアラブルデバイスだ。早速、その使用感をレポートしよう。
冷温両対応で冬場も使える
ソニーがつくった首掛けタイプの「着るエアコン」

夏は冷房、冬は暖房と、季節に合わせて“着るエアコン”として活用できるソニー「REON POCKET 4」

一番左が専用のネックバンド。REON POCKET 4の暖房モードを正確に制御する「REON POCKET TAG」もオプションとして販売されている
本機は、パソコンのマウスによく似た形とサイズ感を採用しており、それを専用のネックバンドを使って首元に固定します。
内部には「ペルチェ素子」という半導体モジュールを搭載しており、このペルチェ素子に電気を通すことで、素子の片側が冷えて、反対側が温まります。温かくなる側はファンによって排熱しながら、冷たくなる側のステンレスパネルを首もとの肌に直接当てて、身体に冷感を伝えます。人間の首のまわりには太い血管が通っていることから、この部分を冷やすことで、効率よく全身をクールダウンできる……という仕組みです。

本体の裏側。ステンレスパネルの内側に電気を通すと吸熱するペルチェ素子を搭載している
REON POCKETには冷却効果のある「COOLモード」だけでなく、内蔵モジュールに電気を通して温まる機能だけを有効化する「WARMモード」も搭載。年間を通じてCOOLとWARMを使い分けられる、まさに“着るエアコン”なのです。
各動作モードは、「レベル1」から「レベル4」まで1段階刻みで強弱が選べます。REON POCKETは本体にバッテリーを内蔵しており、COOLモードはもっとも冷たくなるレベル4で約4時間、穏やかなレベル1で約9時間の連続駆動に対応。本体がコンパクトで目立ちにくく、同梱する専用ネックバンドを併用すればビジネスからカジュアルまで服装を問わず気軽に使えます。

専用ネックバンドを使えば、夏はTシャツの中に装着するなど、服装を選ばず身に着けることができる
自動化を徹底した操作性。専用アプリも“ほぼ使わない”
iOS/Androidに対応する専用モバイルアプリ「REON POCKET」を使うと、冷暖房効果の強弱をマニュアルで変更したり、本体のさまざまな機能を細かく設定したりできます。
しかし、REON POCKETにはセンサー情報と連携してCOOL/WARMモードを自動でコントロールするスマート機能があり、これが非常に便利です。アプリから「SMART COOL MODE」をオンにすると、REON POCKETの本体に内蔵するセンサーが衣服内温度や身に着けているユーザーの行動を検知して、アプリで設定した「温度の好み」に合わせて、冷却温度を自動で最適化してくれます。
また、身に着けると電源が自動でオンになり、本体を外してデスクの上に置いたり、バッグの中にしまったりするとオフになる「AUTO START/STOP」機能も搭載。スマホアプリでいちいち操作する手間がないのは、ユーザーとして大変ありがたいところです。

専用の「REON POCKET」アプリから「SMART COOL MODE」を起動したところ。温度設定を自動調整してくれる
たしかな冷却効果を実感。電気代の節約にも役立つ!
では、COOLモード時のREON POCKETは、どれくらい「冷える」のでしょうか?
人肌は、通常30℃前後だといわれています。専用アプリの「SMART COOL MODE」の「OPTION」には、ユーザーが「ぬるめ/少しぬるめ/普通(おすすめ)/少し冷ため/冷ため」の5段階から好みの温度を選べるメニューが用意されており、「普通(おすすめ)」を選ぶと、多くの人が心地よさを感じる26℃から27℃前後に冷却効果を保ち続けます。

「SMART COOL MODE」での動作中に「OPTION」を選択すると、好みの温度設定が選べる。マニュアルによる4段階の切り替えも可能
たとえば、エアコンをかけて室温を28度前後に設定している場所であれば、「普通」を選ぶだけで十分快適に過ごせます。家庭やオフィスの電気代節約にもつながりそうです。
また、気温が高い屋外では汗をかいたり、服の中に熱気がこもったりすることから、体温が上昇します。そこでREON POCKETでは、OPTION設定に合わせて、冷却効果の強弱を自動で調整したり、冷却の停止と再開を繰り返したりしてくれます。
一定の温度に固定したまま冷却動作を続けると、肌が冷たさを感じにくくなりますが、冷却動作に「ゆらぎ」を加えることで、長く冷たさを感じるようにソフトウェアで工夫を凝らしているというわけです。
筆者は寒がりなので、室内では「普通」か「少しぬるめ」で満足ですが、さすがに気温・湿度ともに高い夏日には「少し冷ため」以上で動作させました。ちなみに「冷ため」は25.5℃前後の温度設定になっています。
もちろん猛暑日の昼間に屋外をしばらく歩くときなど、とにかくガンガン冷やしたいというシーンもよくあります。その際には、アプリからマニュアル設定を選んで動作モードを「レベル4」に固定する使い方もアリです。
ひとつ注意しておきたいのが、レベルを上げていくと、搭載されているファンの動作音が少し大きくなること。賑やかなカフェや電車の中であれば周囲に動作音を悟られることはないと思いますが、静かな場所では少し気にしながら使うとよいでしょう。

本体のトップに排気口をレイアウト。シャツの襟などでここを塞がないように身に着ける
ちなみに、SMART COOL MODEで「少し冷ため」を選択し、フル充電から片道1時間と到着してから汗が引くまでの約30分間の移動、カフェで過ごした約2時間を挟み、帰宅までの約1時間をオンにして使ってみたところ、バッテリー残量は30%ほどでした。
基本的には、毎日しっかりと充電して使うのがよさそうです。
安価な冷感グッズよりも経済的?
最新モデルである「REON POCKET 4」には、本体と別売りの外付けセンサー「REON POCKET TAG」をペアリングして、屋外の温湿度情報と連動する機能を搭載しています。

別売りの「REON POCKET TAG」を使うと、外気温と湿度を正確に計測してくれる

REON SMART TAGが計測しているデータは、Apple Watchでも表示できる
REON POCKET単体で装着した場合、上から服を着込んでしまうと、内蔵センサーが正しく動作してくれないことがあります。
その点、温湿度センサーを内蔵したREON POCKET TAGを一緒に使うと、COOLとWARMの切り替えも自動で行う新機能「SMART COOL⇔WARM MODE」が使えるようになります。寒い冬にはもちろん、エアコンで冷えたオフィスや店舗の中で身体を温めたいときにも重宝しそうです。
なお、WARMモードへの自動切り替えは、このREON POCKET TAGがないとできませんので、注意しましょう。

最新「REON POCKET 4」からSMART WARM MODEが追加された
REON POCKET 4の販売価格はオープンプライスですが、専用ネックバンドを同梱する基本パッケージはソニーストアで16,500円(税込)。今では多様な冷感グッズが2,000円〜3,000円前後で買えますし、一見すると、高い買い物のように思えるかもしれません。
しかしながら、COOL/WARMモードを搭載するREON POCKET 4は、1年を通じて活用できます。加えて、バッテリーが続く限り冷たさ・温かさが持続しますし、モバイルバッテリーやパソコンなどからUSBケーブルをつないで給電しながら使うこともできるので、実際はスタミナに上限がないようなものです。
そう考えると、価格以上に高い満足度が得られる、コスパのいいスマートデバイスであるといえるのではないでしょうか。

PCにつないでUSB給電による連続運転も可能
直販であるソニーストアでは、タグを同梱したセットが7月上旬時点ですでに売り切れていました。まずは実機を体験できる店舗を訪ねて、試してみることをおすすめします。きっと、酷暑を乗り切るデバイスとして大活躍してくれるでしょう。
文・写真/山本敦
関連記事




熱帯夜の「エアコン戦争」に終止符。“手のひら冷却”が家庭を円満にする理由

脳の快適温度は22~24度。専門家が教える熱帯夜のエアコン設定の最適解

新着記事
【こち亀】萌風呂の大ブレイク! 銭湯を舞台にしたアニメで聖地化

約25万円の高級スマートフォン「Google Pixel Fold」レビュー。Google初の大型折りたたみディスプレイには、どんなメリットがあるのか? 3週間使ってわかったこと
新たなスマホ体験の可能性