昭和歌謡も最新曲も、メロディは同じ!?

日本人はなぜか歌謡曲のメロディを捨てられないー中森明菜再始動宣言・マーティがその魅力を読み解く_01
80年代アイドルが青春ど真ん中だった親をもつ平成生まれが、昭和歌謡にハマっている
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――先日放送された『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系)に昭和アイドルに詳しい博士ちゃんが登場して深い知識を披露するなど、平成生まれに昭和歌謡好きが増えた印象があります。なぜだと思いますか?

大きいのは昭和生まれの両親からの影響じゃん。家や車の中で親が好きな歌を聴いたり、子供の頃に親とカラオケに行って一緒に歌ったり、そういう形で無意識のうちに耳に入ってきます。その影響は強いですよ。僕も子供の頃に好きだったのは、親が聴いていた曲でした。

――確かに親の影響は大きそうです。

しかも、今は気になったらすぐYouTubeで見られるじゃん。オススメに次々と関連する歌手や曲が出てくるから、昔の曲に接する機会がたくさんあります。

――とはいえ、昭和と今では音楽が全然違うと思うんですよ。曲作りも音作りも格段に進化しています。親の影響下から脱して、「古い!」と離れていくのが自然な流れかと。

メロディラインは最近の曲も昭和歌謡もそんなに変わらないです。AdoもYOASOBIも、メロディのセンスは昭和歌謡とほとんど同じだからね。

――え? どういうことですか?

日本のサウンドプロデュースは本当に素晴らしいです。だからAdoもYOASOBIもパッと聴いたら歌謡曲っぽくない。だけど伴奏をミュートして歌だけ聞いたら、昭和歌謡と変わりません。

――むむ…。ちょっとすぐには想像が…。

別の言い方をすると、歌謡曲のメロディは必ずピアノで、指一本で弾けます。それが歌謡曲の特徴で、ずっと変わりません。

――言われてみれば、昭和歌謡も令和の曲も指一本で弾けそうな気がします。

日本人はなぜか歌謡曲のメロディセンスを捨てられないんですよ。だからポップスでもダンスミュージックでもビジュアル系でもラップでも、売れる曲には歌謡曲のメロディセンスがあります。どんなジャンルでも、歌謡曲のセンスが入らないとあまりウケないですね。最近の曲にもそのセンスが入っているから、若い人が違和感なく昭和歌謡を受け入れられるんです。

――ガワの形が変わっても、芯の部分のメロディは昭和歌謡を引き継いでいたんですか。

そうですね。僕は歌謡曲のメロディセンスが大好きだから、それがずっとキープされている日本は本当にパラダイスです。アメリカだとこうはいきません。テイラー・スウィフトとビートルズに似たメロディは無いじゃん。1950年代や60年代と今の音楽は全く違いますし、どんどん変わります。日本は独特なんですよ。