#1
#2
#3

〔 〕内は集英社オンラインの補注です

〔ライブやショーパブで安定して笑いをとれるようになっていたTAIGA、しかし初めての『笑っていいとも!』出演で客席は静まり返る。すでに32歳になっていた…〕

『爆笑オンエアバトル』で大失速

このあたりから、自分のモノマネの才能に限界を感じ始める俺。来る日も来る日もテレビを見ていろんな人の特徴を捉えることを繰り返し、ひとりでカラオケに行って練習をするのだが、どうやってもショーパブに出てるモノマネ芸人さんには勝てない。地元では、うまいうまいとおだてられても、プロで活躍する芸人の中では最低ランク。俺がこのフィールドで勝負を続けるのは、明らかに分が悪い。

そこで意欲的に取り組んだのがひとりコントだった。ひとりコントは、それまでもショーパブで披露していた。ウケる日もあればスベる日もあった。この頃の俺はバキバキに尖っていたので、スベった日は「笑いのセンスがない客だな」と思っていたし、客がついてこないくらい新しいことやってる自分がカッコイイとさえ思っていた。

スベった日は「笑いのセンスがない客だな」と思っていた…バキバキに尖っていたTAIGAがギャラ飲みをスッパリ辞めた理由_1
すべての画像を見る

若手芸人の登竜門的な番組、NHKの『爆笑オンエアバトル』のオーディションに受かったときも、当然だと思っていた。この番組は10組の芸人が、お客さんの前でネタを披露し、お客さんの投票で面白かった上位5組がオンエアされ、下位5組はオフエア。敗者コメントのみ流される。

ネタを見たお客さんは、手元にあるボールで投票する。最後にバケツに入ったボールの数で反響を計量する。テレビの前の視聴者と同じ感覚を持ったお客さんが、芸人の面白さを数値で評価するという画期的な番組であったが、芸人にとっては残酷な番組でもあった。

お笑いファンからは絶大な人気を誇った番組のオーディションに受かったことで、ひとりコントにも自信を深めていた。やはり特別な才能を持っているに違いない。自信作のコントをNHKホールで披露する機会に恵まれたことに感謝した。だが、待ちに待った俺の本番では、客席からの笑い声はあまり聞こえてこない。

特に後半は大きく失速。俺の前で転がる球は明らかに他の芸人より少ない。いざ計量となって、結果は245キロバトル。客からの「新しいタイプのお笑いだった!」「ネタが単調で少し飽きちゃったかも」という評価と、俺の敗者コメントのみが放送された。