努力している姿は人に見せたくない
──モデル活動の集大成を飾る、初めての写真集を発表した今のお気持ちは?
『メンズノンノ』のモデルを務めさせていただく以上は、表紙と連載、そして写真集を出すことが僕のひとつの目標でした。本当にありがたいことに、連載や表紙をやらせていただいて、卒業のタイミングで写真集を出せたことは、キャリアの締めくくりとして本当に恵まれたなと思います。
──3月で『メンズノンノ』の専属モデルも卒業されます。7年間を振り返っていただけますか?
専属モデルになりたての頃は、たくさんの企画に呼んでもらいました。でもポージングも下手でしたし、カメラの前だと緊張するし……。そんな状態だったので、だんだん呼ばれなくなっていったんです。
──それはどのくらいの時期?
もう、結構すぐですね。入って半年も経たないうちに「あれ、今月メンノン入ってないな」「来月もないな」って。自分がメインではなく、大勢いる中のひとりとしての撮影も多くなっていったので、やっぱり焦りも出てきて。
本当に悔しかったし、「このままだと来年はここにいられないかもしれない」と思ったその辺りから、プロとしての覚悟ができました。
──どう乗り越えたんですか?
とにかくいろんな雑誌を読んだり、先輩方のポージングを勉強したり。もちろんすぐには習得できないので、たくさんチャレンジしてたくさん失敗しました。
カメラマンさんにポージングを指摘されたこともあったし、自分では変だなと思ったポージングを、編集さんが褒めてくれたことも。自分が思っているものとモニターに映っているものの見え方の違いも学びました。素人だったから、自分だけの判断じゃ何もわからなかった。周りの方に助けてもらい、教えてもらいながら学んでこられたと思います。
──忘れられない思い出は?
打ち合わせの段階では自分が着る予定だった洋服を、急遽現場で別のモデルが着て誌面に載ったことがあったんです。それはやっぱり一番悔しかったですね。もちろん、誌面の全体のバランスとか、いろんな事情があったと思うんです。でも当時新人だった僕は、「自分がダメだったんだ」とすごく落ち込みました。
それでも、「向いてないから諦めよう」と思うのではなく、「落ち込んで終わっちゃうのはもったいない。次に呼ばれたときにはどうしよう」と工夫したり、考えたりすることができたことはよかった。今となっては、当時の自分を「よくやったな」と褒めてあげたいです。
──クールで冷静なイメージがあるので、ハングリーさにはちょっと驚きです。
そうですかね(笑)。何事においても、常にもっとレベルを上げたいと思って臨んでいます。
──7年間の活動の中で見出した、モデルとしての自分の武器は?
「氷魚って何着ても似合うよね」と言ってもらえることが増えました。それはモデルとして本当に必要なことだと思うので、ありがたいことに体型に恵まれたなと思います。
容姿としては、クオーターということもあって、ちょっとアンニュイな雰囲気があると周りの方から言われます。それは自分にしか出せないものでもあるし、武器だったと思います。