大失敗が自分を見直す機会に

すぐに鍼治療に行き、本番当日も置き鍼をしてもらい、必死に務めましたけど、案の定、満足いくパフォーマンスにはほど遠かった。
ちょっとがんばればこなせるという時代は終わったんだ、と思いました。

膝を痛めたのは、たまたまなんかじゃない。
今回は鍼治療でなんとか舞台に立てるまでに持っていけたけど、同じことをしていればこの先、またこんなことが起きる。いや、もっとひどいことがきっと待っている。

付け焼き刃はもう通用しない。ちゃんとトレーニングしないとダメだ。と。
膝が癒えるのを待って、ジャズダンスを、腰を据えて本格的に始めました。
ボイストレーニングも定期的に通うようにしました。

以来、自分自身を磨くために投資をするようになったんです。
生活も見直しました。
夜遅くまで収録や打ち合わせがずれ込むなど、芸能界は時間帯が不規則で、ちょっとでも気を緩めると、睡眠も食生活も乱れてしまいます。

できる限り早寝早起きを守り、忙しくても一日三食しっかりとるよう徹底したのもこのときからです。仕事が夕方からの日でも、毎朝8時には起きると決めました。
食事の内容も、とにかくバランス重視で、まんべんなく栄養を摂取するよう心がけました。

二度としたくないつらい経験でしたが、自分を見直す機会となりました。
この年まで元気で走ってこられたのも、そのおかげです。

76歳。今日も良日 年をとるほど楽しくなる70代の心得帖(アスコム)
中尾ミエ
中尾ミエ、76歳。付け焼き刃は通用しないときが来るんです。その大失敗があったから、今がある。自分のために、自分に投資するようになりました。_1
2022年10月26日
1,540円
212ページ
ISBN:978-4-7762-1230
16歳で鮮烈なデビューを飾って以来、60年。
御年76歳となった中尾ミエさんが綴る書下ろしエッセイです。
ミエさんの生き方には、つねに “やりたいこと”“楽しいこと”に向かって真っすぐに進んでいく力強さがあります。
「いつか」ではなく、「いま」動き出すこと。
挑戦を恐れないこと。
人に会いにいくこと。
でも、ひとりを楽しむ時間も大切に。
それによって、いくつになってもワクワクし、人生を楽しむことができる。
そんなミエさんのメッセージを同年代の方、まだ若い方、あるいは80代、90代の人生の先輩となる方々にお届けいたします。
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中尾ミエさんエッセイ#1