歌もダンスも下地がなかった
<ミエのこころえ>
付け焼き刃は
通用しないときが来るんです。
その大失敗があったから、今がある。
自分のために、
自分に投資するようになりました。
膝を痛めたのはたまたまじゃない
ちょっとがんばればこなせる
という時代は終わったんだ、と思いました。
デビューしてすぐにヒット曲に恵まれたので、歌もダンスもまるで下地がなかったんです。
歌いながら踊ることもあったけど、子どものころにバレエをかじったおかげなのか、何回か習えばそこそこ踊れたので、改めて習う必要も感じていませんでした。
30歳のときに、リサイタルをやることになったんですよ。
ショーの目玉がダンスナンバーでした。5分を超えるくらいの長いもので、ふりつけも、そこそこ難しかったんです。
でも例によって、1週間ほどのリハーサルでなんとか踊れるようになって、明日、初日というとき、階段を下りていたら、膝がバキッと音をたて、それから動かなくなっちゃったの。
力がまったく入らない。歩けない。目の前が真っ暗になりました。
でも足が動かないなんて、言っていられない。
どうしたって、明日はステージに立って踊らなくてはならない。
もうチケットを売ってしまっているんだから、お金を払って、楽しみに待って、明日、会場に見に来てくれるお客様がいるんだから。
そのダンスナンバーがいちばんの見せ場なんだから。
もう泣けてきましたよ。