強い正統派漫才で賞レースを
勝ち上がるナイチンゲールダンス
東京よしもと(神保町)に所属する若手漫才師・ナイチンゲールダンス。イケメン風のツッコミ・ヤスさんと、おバカキャラに見せかけて実は高学歴なボケ・中野なかるてぃんさんのコンビ。
どのネタもテンポがよく、とてもポップなのにボケの一発一発がしっかりおもしろいという「強い」正統派漫才が魅力だ。今年のM-1準々決勝も申し分ないウケだったので、いつ準決勝、決勝に進出してもおかしくない。
僕はなかるてぃんさんがするヒカキンの顔マネが、この世のモノマネの中で1番好き。1度番組に出演してもらった際に10回以上「ヒカキンの顔マネやって」というカンペを出してしまい反省している。ヤスさんはインスタに自撮りばかりをあげているので、そちらもぜひチェックしてみてほしい。
R-1では1回戦敗退のダークホース・可児正
フリーで活動するピン芸人・可児正(かにただしと読む)。今回紹介した5組の中では、最も知名度が低く、賞レースでの成績も「R-1グランプリ2022」は1回戦で敗退してしまうなど著しくはない。
ただ、可児正さんはとにかく単純に「ネタがめちゃくちゃおもしろい」のだ。基本的には「音ネタ」なのだが、元々プロモーションビデオの監督になりたかっただけあってとにかく「音感」が心地いい。
ただ闇雲に音響を使うのではなく、ムダなセリフは一切挟まず音が引き立つようにネタを構成している。だから、ネタというより「曲」として記憶にも残りやすい。すべてのネタが賞レースに向いているかどうかはわからないけど、会場の空気と審査員の趣向次第ではあれよあれよと決勝まで行ける確率も低くないと思う。
2023年の賞レースで活躍しそうな芸人は、以上の5組以外に少なく見積もっても100組以上いる。
おもしろい芸人さんの数に対して、賞レース決勝のイスが少なすぎるため「どうしてこの芸人が敗退するんだ!」というやり場のない憤りを覚えなければならないのは、それだけ今のお笑い界が盛り上がっているということ。グッと堪えてこの先も賞レースを楽しみたいと思う。