バスク風ステーキ=チュレトン

一方、スペイン代表で異彩を放つのが、スペイン北西でフランス領にもまたがるバスク人だ。

100年のクラブの歴史でバスク人純血主義を続けてきたアスレティック・ビルバオ、久保建英も所属するラ・レアル・ソシエダの選手は代表でも要所を占める。アスレティックには、代表守護神であるGKウナイ・シモンがいる。

また、アスレティックの新鋭FWニコ・ウィリアムス、マンチェスター・シティのDFエメリック・ラポルトはそれぞれルーツは違うが、アスレティックの下部組織で育った。クラブの原則では「下部組織育ちの選手もバスク人」とみなされるだけに、その意味では彼らも“バスク人”と言える。


バスク人選手は真面目で規律を守り、働き者が多い。その性格がディフェンス面に秀でた人材を多く出す。温和な性格だが、ピッチで敵の前に立つと、金剛力士像のごとき猛々しさを見せる。

その料理も骨太で、お勧めはチュレトンだ。これはバスク風ステーキのことで、牛肉の骨付きリブロースの塊を熟成させ、塩を振りかけ、炭火で30分ほど豪快に丁寧に焼く。

フィデウア、チュレトン、コシード。スペイン代表選手たちを支える地域料理_2
チュレトン

炭火自体も地元で作った木材だとさらに相性が良い。外だけはカリっと香ばしく、中はジュワっと肉汁が溢れる。わずかに血が滴るミディアムレアを推奨したい。命をいただく心得を忘れずに。