「朝鮮籍」に対する誤解

実際にB氏と会ってみると、自身の言動を覚えていないとはいえ、やったことについて、相当反省している様子が見てとれた。

こういう時、「いやいや、絶対に反省していないだろ」「心の中ではどう思っているか分からない」と思う方もいるかもしれないが、僕は人間同士、会ってしっかり対話をすれば、演技かそうでないかは、分かると思っている。

B氏とじっくり話したところ、メディア等で見聞きする北朝鮮のイメージのみで、ああいった言動に及んでしまったという。ある意味で予想通りだった。在日朝鮮人はすべて「北朝鮮の人」で、朝鮮学校も「北朝鮮の人が通っている学校」だと思いこんでいた。

ここで今後、間違った認識があってはいけないので大事なことを書きたいと思う。

在日朝鮮人というのは、日本統治時代に朝鮮半島から日本に渡ってきた人たちのことであり、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の国籍保有者を指す言葉ではない。

朝鮮籍というのは、日本政府がそれまで皇国臣民=日本国籍者としてきた朝鮮人を第二次大戦後にいきなり外国人として登録するために作られた便宜上の記号なのだ。したがってこれは国籍ではない。朝鮮半島出身者という意味で「朝鮮籍」と国籍欄に表示されるが、事実上の無国籍なのである。

無国籍だからパスポートは持てない。それでも自分たちのルーツやアイデンティティを尊重して、国籍を取得せずにこの朝鮮籍にこだわり続ける人たちもいるのだ。

そして、朝鮮学校は北朝鮮政府が資金援助をして建てた学校ではあるものの、在日一世を除けば、通った方、通っている方のほとんどが日本生まれ日本育ちであり、国籍も韓国や日本の方が多い。