真の狙いは自衛隊の疲弊
ただ、対日本では別の狙いもあるはずだ。それは自衛隊を疲弊させることだ。
沖縄方面での航空自衛隊のスクランブル発進はじつに330回(1~10月)を数える。そのほとんどが中国機に対するものだ。那覇の空自基地には2個飛行隊約40機のF-15が配備されているとはいえ、これだけのスクランブルをこなせば自衛隊側の疲労困憊は免れない。
日本領空周辺で連日のように無人機を運用して空自のパイロットを疲弊させ、さらには機体の整備が追いつかない状況を作り出したいというのが中国側の狙いなのだろう。
それでなくても米軍沖縄嘉手納基地からのF-15の段階的撤退が決定され、空自の負担は強まるばかりだ。次期主力機となるであろうF-15EXはまだ製造が少なく、沖縄に回す余裕はないからだ。
ならば、無人機には無人機で対応すればよいとの声が上がるかもしれない。
しかし、我が国での無人機運用は海上保安庁が青森県八戸市で船舶などの海洋監視のため、米国製MQ-9B「シーガーディアン」の運用を始めたばかりだ。23年度に3機体制にし、海自も配備を予定する同年からは情報共有を図る予定だが、運用実績はこれからというのが実情だ。