男ふたり、エナジードリンクで流し込む「冷凍餃子」
餃子とピザを調理中のふたり組、坂井さんといなべさんはともに20代後半。学生時代から10年来の付き合いだという。
「今年の頭くらいから少しずつキャンプ道具をそろえ始めて、前回はお互いの彼女を連れて4人でキャンプをしたんです。そのときはパエリアとか天ぷら、炊き込みご飯まで作ってもらって。映えるし、超うまかったですよ。
今回は家からわりと近いこの公園に男だけで来てみました。汚くてもいいや、失敗してもいいや、そんな感じで食べたいものを食べたいだけ食べようぜってことで」
そう謙遜しつつも、スーパーで購入したチルド餃子をひっくり返すと、その焼き目の美しさに取材班も「おお、すごい!」。
「ここで何度かデイキャンプをして慣れたら、山梨のほったらかし温泉のキャンプ場に行ってみたいんです。そのときはまた彼女を連れて」
片手にはエナジードリンク、食料袋の中にはカップ麺も見えた。
肩肘張らず、欲望に忠実であれ。
若きふたりにキャンプ飯の神髄を教わった。
家族みんなで果たす「焼き芋」リベンジ
昼下がり、話を聞いたのは隣の川口市からお越しの浦野晋介さんご一家。
小学2年の長男、5才の長女、生後3カ月の次男を連れてこの日が3回目のキャンプだという。
晋介さんが炭火の上の焼き芋をさわり、火の通り具合をチェックする。
「焼き芋が今日のメインです。今年キャンプを始めたばかりで、実は1週間前、同じように焼き芋をしたんですが、火の通りがいまいちで(笑)。今日はリベンジなんです!」
妻の道絵さんは「テントを張ったり、焚き火をしたり、家族みんなで少しずつできることを増やしていきたいですね」と話す。
できあがるまで取材班が時間をつぶし、再度、浦野さんのテントに向かっていると「お芋焼けたよ!」と子どもたちが走ってきて教えてくれた。満を持して芋を割ってみると断面がしっとりと、完璧な仕上がり。
「広葉樹の薪を見つけたんだけど、それだと燃えにくいからって、先週のキャンプの帰りに針葉樹のやつ、買ってたんだよ」
長男の昇太くんが今回の成功の秘訣を教えてくれた。
かくしてホクホクの焼き芋をご厚意で“お福分け”。
取材班の独身男3人、焼き芋の甘さとともに家族の温かさが心に染みた。
取材・文/小林 悟
撮影/松本 侑
サムネイルデザイン/鈴木沙季