50年ぶりの「イタリアンパッケージ」によるV

2022年のMotoGPは、シーズン最終戦のバレンシアGPでイタリア企業ドゥカティのエース、フランチェスコ・バニャイアがライダーズタイトルを獲得してシーズンを締めくくった。

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2022年チャンピオンを決めた、ペコことフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ)
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最終戦までタイトル獲得がもつれたとはいっても、前戦のマレーシアGPを終えた段階で、ランキング2番手につける昨年のチャンピオン、ヤマハのファビオ・クアルタラロとは23ポイント差が開いており、今回のレースでたとえクアルタラロが優勝したとしても、バニャイアは14位でゴールすれば王座が確定する、という圧倒的に有利な状態だった。

しかも、クアルタラロは6月のドイツGPを最後に一度も優勝していないのに対して、バニャイアはその翌戦から4連勝の快進撃で猛追を開始し、その後も安定して表彰台を獲得し続けていた。

今回の最終戦では、勝つ以外にタイトル防衛の目がないクアルタラロは表彰台に届かず4位で終え、バニャイアは9位でゴールして、事前の予想どおりにタイトルを手中に収めた。

ドゥカティのライダーがチャンピオンになるのは、2007年のケーシー・ストーナー以来15年ぶり。しかも今回は、イタリアメーカーのバイクを駆るイタリアファクトリーチームのイタリア人ライダーが年間総合優勝を達成するという、いわば完璧な〈イタリアンパッケージ〉。

この完璧な〈イタリアンパッケージ〉は、MVアグスタのファクトリーチームでジャコモ・アゴスチーニが達成した1972年以来50年ぶりなのだから、二輪ロードレースがサッカーと並ぶメジャースポーツのイタリアでは、まさに国家的な快挙だ。

しかも、ドゥカティは、バイクメーカー間で競うマニュファクチュアラーズタイトルと、チーム同士が争うチームチャンピオンシップで年間総合優勝をすでに確定させており、今回のライダーズタイトル獲得によって三冠を達成した。

「皆が泣いていた。感無量で、ぼくも泣いた。素晴らしい勝利を達成したけれども、タイトルを獲得してチームとドゥカティ、イタリアの期待に応えるという重みが両肩にのしかかっていて、すごく苦しかった」

チャンピオン獲得後のバニャイアは、自分にのしかかっていたプレッシャーの大きさを正直に明かした。