LGBTQ+向けファッション誌『WaWian』の創刊コンセプトとは
――『WaWian』という雑誌のコンセプトとタイトルの意味を教えてください。
タイトルは「The Way We Are and…」を略した造語で、“ありのままの私たち、そして未来へ…”という意味を込めています。コンセプトは“マイノリティとマジョリティの共生”、そして“カテゴライズされない世界を目指す”ということです。
ただし、カテゴライズされない世界をめざしつつも、中には自分をどれかに当てはめて安心できる人がいるというのも事実なので、そういう人の気持ちも大切にしていきたいです。
LGBTQ+の雑誌というと重たくなりがちですが、あまり深刻に考えずファッションという切り口を持つことで、視覚的に「これってかっこいいじゃん」「オシャレな雑誌じゃん」と楽しんでほしいと思ってます。
――確かに、LGBTQ+を扱うなら真面目にやらなければ、という意識が先立って、暗かったり重かったりとなりがちですよね。
そう。肯定的な情報が少ないと感じます。そんな中で『WaWian』は、世の中に散らばっているポジティブな情報を集め、明るい内容を発信していきたいと思っています。LGBTQ+当事者の皆さんの想いを伝えるスピーカー的存在となれたらいいんですけど。
――LGBTQ+以外の人にも読んでもらうことは想定していますか?
そのつもりです。例えば、LGBTQ+当事者の友達や家族を理解するための、手助けになれたらいいなと思っています。
――30歳の萌茶さんは、雑誌よりもウェブメディア第一の世代だと思うんですけども、 あえて紙媒体で発信しようと思ったのはなぜですか?
理由はいくつかあります。まず、雑誌が厳しい時代だからこそ、あえて新創刊したら注目されるのではないかと思ったこと。登場するモデルさんは、雑誌に自分が載って書店に並ぶということに憧れがあるので、その気持ちを大切にしたかったこと。紙媒体の方がなじみのある年代の方たちにも読んでいただきたかったということ。そして、紙媒体は図書館や学校の図書室にも置いてもらえる可能性が高いことです。中学や高校で、生徒さんや教員の方にも読んでいただきたいんですよ。
――なるほど、紙の雑誌にするメリットは大きいんですね。
そうなんです。そしてもう1つ、LGBTQ+をカミングアウトしたいんだけど、なかなかきっかけをつかめない人の手助けになるんじゃないかと思っています。「自分もそうなんだけど、ちょっと見といてくれない」って『WaWian』を手渡したら、相手に伝わりやすいと思うんですよ。
――実際に雑誌を出してみて、反響はありましたか?
うれしいことに、予想以上にたくさんの反響をいただきました。その中には、「この雑誌に救われ、自分は生きていていい人間なんだって思えた」と書いてくださる方もいらっしゃって。そうしたレビューを読んで、この雑誌にはやはり存在意義があるんだと実感しました。
――海外からも反響があったとか。
実はドイツ在住の映像カメラマンさんから、コンセプトが気に入ったとのことでご連絡をいただきました。『WaWian』とのコラボでショートムービーを作成し、ベルリンのファッション映画祭に提出したいという内容で、先日、撮影をおこないました。