家でお酒を飲む時間がいちばんの楽しみ

ミュージカル界のプリンス井上芳雄が初めて降り立つ、聖地・本多劇場_6

――井上さんは今年デビュー22年目。大きな作品や劇場、そして数々の主演を務めていますが、本番を前に緊張することは?

あります! 毎回、何十回何百回と経験している公演でも緊張します。極端に言うと、今日はうまくできるわけがない……みたいなことを思います。今まではできたけど、今日はできないかもしれないというような。逆に言うと、何の根拠もなく舞台に立っています。お芝居中は、相手の共演者さんに集中するのでそういう不安は忘れられる……いや、忘れられたらいいなと思っている自分がいます。

――そんな井上さんのメンタルやパワーを保つ秘訣は?

お酒を飲んで忘れることくらいですね(笑)。結局ごまかせてないですけど、昂った神経を落ち着かせるにはいいかなと。家で「今日こんなお仕事だったよ」なんて話しながらお酒を飲むのがいちばんの楽しみです。

――最後に『しびれ雲』の見どころと、意気込みをお聞かせください。

下北沢の本多劇場でKERAさんの新作舞台に参加できることはすごく幸せです。KERAさんは長年演劇に携わってきて、毎年何作も脚本を書いて演出もされていることもすごいことなんですが、毎回初めての作風にチャレンジされていて、『しびれ雲』も初めてのことに挑んでいます。尊いことですよね。自分がその場にいさせてもらえることが本当に嬉しいです。

まだどんな舞台になるかわからないですけど、かと言って奇想天外なものではなく、誰しもが知っているような、でも実際にはない「梟島」で繰り広げられる島の人達の話。KERAさんもきっといい話になるとおっしゃっていたので、年末の寒い時期にピッタリな、心に染み入るいい話になると思います。ぜひ劇場にいらして、下北沢の空気と一緒に楽しんでいただけると嬉しいです。


取材・文/小波津遼子 撮影/石田壮一  ヘアメイク/川端富生 スタイリスト/吉田ナオキ
タートルネックニット(CULLNI) 38,500円/Sian PR 03-6662-5525、その他/スタイリスト私物

井上芳雄
1979年7月6日生まれ、福岡県出身。東京藝術大学在学中の2000年にオーディションを受けたミュージカル『エリザベート』の皇太子・ルドルフ役でデビュー。「ミュージカル界のプリンス」と呼ばれ、ミュージカル『モーツァルト!』、ミュージカル『ナイツ・テイル ー騎士物語ー』、ミュージカル 『ガイズ&ドールズ』などに出演。舞台にとどまらず、歌手活動のほか、テレビドラマやバラエティ番組と活動の幅を広げている。

KERA・MAP#010 『しびれ雲』
劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチが主宰劇団「ナイロン100℃」以外の演劇活動の場としてスタートした「KERA・MAP」の3年ぶりとなる新作公演。前作『キネマの恋人』の舞台となった架空の島・「梟島」と架空の方言を話す島の住人達が再び登場する。
主演・井上芳雄が演じるフジオは梟島の港に突如として現れた。フジオを中心に見えてくる島の人々の小さな喜び、悲しみ、驚き、嫉妬、幸せ、不幸を描く人間ドラマとは…。

東京公演:2022年11月6日(日)~12月4日(日) 下北沢 本多劇場
兵庫公演:2022年12月8日(木)~12月11日(日) 兵庫県立芸術文化センター阪急 中ホール
北九州公演:2022年12月17日(土)・12月18日(日) 北九州芸術劇場 中劇場
新潟公演:2022年12月24日(土)・12月25日(日) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場

出演:井上芳雄 緒川たまき ともさかりえ 松尾 諭 安澤千草 菅原永二 清水葉月 富田望生 尾方宣久 森 準人 石住昭彦
三宅弘城 三上市朗 萩原聖人

公式サイト
https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/shibiregumo