「僕のなかで一番会いたかったひと」

穏やかな表情で丁寧に受け答えするのはいつも通りながら、やはり自身が12年以上にわたって過ごした代表キャンプに戻ってきたことで(日本代表での出場試合数は歴代7位の114試合)、何か感じるところはあったのだろう。長谷部は日本でもドイツでも、クラブレベルで数々のトロフィーを手にしてきたが、それらと比べても代表は特別だという。

「僕自身は4年前に日本代表を離れています。(昨シーズンの)ヨーロッパリーグで優勝し、今はチャンピオンズリーグでプレーしていますけど、それとは違うものをあらためてここで感じています。これはみんなにも話したことです。今の代表選手たちには、そんな場でプレーできることを(特別だと)強く感じて欲しい」

そういったことを話すということは過去の日本代表の面々と比べて、今の選手たちからは、熱意が見えにくいということなのだろうか。

「3日間しかいないのでわかりませんが、みんなW杯で勝ちたいと思っているのは間違いない。でも、どちらかというと内に秘める選手が多いのかなと。ひと昔前の日本代表の方が言動で表に出す人が多かったですよね。だからといって、今の選手たちが情熱を持っていないわけではなくて。僕もこうして中に入ってみて、こんなに考えてやっているんだなと初めて感じました。

今の選手たちは年齢に関係なく、監督に対してもどんどん要求する。監督もそれをウェルカムという感じで、どちらかというとそれを待っているくらい。ヨーロッパでやっている選手が多いので、より深く、いろんな考え方が出てきます。パッションについてはそれぞれかもしれないですけど、W杯が近づいてくるともっと出てくるはずです」

そんな現在の代表の中で、ひときわ熱を感じさせるのが長友佑都だ。

前主将と3学年違いの36歳のSBは「僕のなかで一番会いたかったひと」と長谷部との邂逅を喜び、「あった瞬間にすごくテンションが上がっちゃって、抱きつきました(笑)。(ロシア)W杯以来だったので、会うのは本当に久しぶりでした」と続けた。