経口妊娠中絶薬とはどのようなものか?

なぜ今も子宮から“掻き出す”のか。世界85カ国が導入する「経口中絶薬」が日本で使われてこなかった理由_1
カナダで発売されているミフェプリストン錠とミソプロストール錠(ラインファーマ提供)
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前述のどちらとも異なり、薬の投与のみで中絶を行うことができるのが中絶薬です。世界では、約82カ国・地域の医療現場で導入されている方法です。日本では昨年12月にイギリスの製薬会社ラインファーマから承認の申請が出され、現在審査中です。

具体的にどのような仕組みで中絶が行われるかというと、まず妊娠の継続に必要なプロゲステロンを抑制する薬(ミフェプリストン)を投薬し、その数日後に子宮の収縮を促す薬(ミソプロストール)を投薬します。これにより子宮の内容物が押し出され、投薬完了後24時間で93.3%、最終的には95~96%の確率で中絶が完了します(中絶が完了しなかった場合は、改めて掻爬法か吸引法による施術となる)。

中絶薬を投薬されると、女性の体には下腹部痛と出血などが起こります。例えるならば「少し重い生理痛」のようなものがありますが、中絶手術の時のようにあらかじめ子宮の入り口を開く必要などなく中絶を終えることができます。

この方法での中絶が可能なのは、妊娠9週目くらいまでの妊婦であり、その期間を過ぎている場合は掻爬法、もしくは吸引法となります。