ダウンタウンさんが出てきたとき、上岡龍太郎さんが……
――いいきっかけになりましたね。
昔はこの生活を守んなきゃいけないとか、すごく感じてたんですけど、もう別に今、失うもんもないし。若手の子らが頑張ってると、自分の子供に見えちゃうんですよね。だから微笑ましく感じるし、「君らまだまだ未来があるから、頑張ってほしい」という気持ちになる。
最近、周りのディレクターとかが、「もうあくせくゴールデンとかで働きたくないです」って言ってるんです。「もうテレビなんかやりたくねぇ! 俺は釣りのプロになる!」って言ってる人もいて。みんな、どうしちゃったんだよと思いますけど(笑)。ダウンタウンさんやとんねるずさんと一緒に仕事してた人たちがそういう心境になってるわけだから、ああ、その流れが俺にも来てるんだなぁと。
2年前、45歳くらいのときはまだ焦ってましたけどね。でも今は焦ってなにかやるくらいなら、まだ尻すぼみで終わったほうがいい。舞台に出たら全部笑いをかっさらうくらいはできると思ってますけど、でもそれで若い子らと張り合ってもしょうがねぇなっていう。
――「笑いをかっさらえる」という自信がついた?
こんなこと言うと「なんだこいつ」って思われちゃうんですけど、自信は昔からめちゃくちゃありました。「俺って面白れぇな」と思いながら、自分がウケたところは絶対ビデオに撮って観てましたから。
今、売れてる若い芸人を見ててね、正直、「全然面白くねぇな」と思うこともあります。でも、「世間がおかしいんじゃなくて、俺がおかしいんだ」って思うようにしておかないと。ちゃんと評価されてるんで、彼らは。だから「ああ、これは俺がわかんなくなってきている、ジジイになってきてる証拠なんだな」って。
昔、ダウンタウンさんが出てきたときに、上岡龍太郎さんが「ホンマ、君らのなにがおもろいのかわからへん」って言ったんですよ。そのとき、俺は「なに言ってんだ?」って思ったんです。ダウンタウン信者ですから。
でも上岡龍太郎さんがそうやって言うっていうことは、この人が年を取って、話題についていけてないんだなぁとも思ったんです。そして、それと同じことが今、自分にもきたんだなと。やっぱり若い子たちを面白いと思えないっていうのは、時代が違うんだなぁって。
――なんだか物悲しいですね……。
落胆じゃなくてね。そういう時代の流れなんだなぁって。だから、本当にマネージャーやりてぇなと思ってるんですよ。一応、MCとかもだいぶやったんで、まだ売れてない奴らがMCとかやるようになったら、教えてあげたりとか。俺、角がモロ取れてると思いますね。
――7年前も優しい方だなと思ったんですけど、今はもう仏みたいになってます。
アハハハハ! そうですね、優しくなりましたね。でも全然、性欲ありますけどね(笑)。ただ、もう自分がどうこうじゃないかなと。