歴代最年長優勝で「TIGER IS BACK!」なるか!
ウッズは1995年のマスターズに初出場してローアマを獲得している。当時はまだスタンフォード大学の学生だった。そして翌96年にプロ転向し、97年のマスターズでは21歳3カ月で史上最年少優勝を果たした。
2001年、02年は連覇を達成。05年にはもはや伝説といわれる16番パー3でのスーパーチップインを見せ、クリス・ディマルコとのプレーオフを制してマスターズ4回目の優勝。その後、故障や私生活でのトラブルなどもあり、プレーヤーとして精彩を欠く時期もあったが、19年には涙の復活優勝を見せてくれた。そして前述した21年2月の交通事故に遭う。まさに波乱万丈とはこのことである。
報道によると、ウッズは松山と談笑した後、ドライビングレンジで調整して、10番から練習ラウンドをスタートした、とある。
オーガスタ・ナショナルGCは咲き誇る花々と緑の芝、池や小川の青など、とにかくきれいな景観で知られている。しかし一方で、PGAツアーの会場の中でも指折りのアップダウン(高低差)が厳しいゴルフコースでもある。
全18ホールの中で最も高低差があるのが10番で、それは46mにもなる。この高さはニューヨークの自由の女神像と同じだそうである。
10番スタートということは、普通に考えればINコースをプレイして18番ホールに上がってくる。18番はティーからグリーンまでずっと打ち上げで、トーナメント中継を見ていると、バッグをかついだキャディーが息も絶え絶えというシーンも散見されるほど、長い登り傾斜が続いている。
ウッズの本格復帰を危惧する声の中で多くを占めていたのが、4日間4ラウンドを歩きとおせるのかという不安だった。負傷したのが右足だったからだ。
そこにウッズ本人の意図があったかどうかはわからない。でも、あえてアップダウンの厳しい10番から練習ラウンドをスタートしたことに、ゴルバカとしては意味を感じてしまうのだ。
今回、ウッズは46歳で出場することになる。
1986年、11年ぶりにマスターズでの復活優勝を果たしたジャック・ニクラウスは、ウッズの5度を上回る最多の6回優勝を誇る「帝王」である。同年マスターズの最終日、18番のフェアウェイをグリーンに向かって登っていくニクラウスは、オーガスタ・ナショナルGCを埋め尽くしたパトロン(ギャラリー)たちの「JACK IS BACK!」の大歓声に包まれた。そして、その大声援の中、彼はマスターズの最年長優勝記録と最多優勝記録を更新したのだった。
その時、ニクラウスは46歳2カ月。今年、ウッズは46歳3カ月で挑む。
「TIGER IS BACK!」ははたして……。