「友達をたくさんつくりなさい」

岩井は学校に呼ばれて薬物に関する講演会をする際、「友達をたくさんつくりなさい」と伝えるそうだ。

下図(覚醒剤の入手先)を見るとわかるように、多くの人たちが身近な人から薬物を勧められている。

「性行為のことしか考えられなくなる」薬物依存症の本当の怖さとは…_7
注 1法務総合研究所の調査による
2各項目に該当した者(重複計上による)の比率である
3覚醒剤の入手先が不詳の者を除く
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もし友達が1人しかおらず、その人から薬物を勧められれば断るのは難しい。だが、友達がたくさんいれば、1人から勧められても、勇気を振り絞って断り、別の友達のもとへ行くことができる。

ゆえに、岩井は「多彩な友人関係」を築くことを勧めているのだ。

薬物は媚薬でもなければ、精力剤でもない。人間性を粉々に破壊し、死へと引きずり込んでいくものだ。財団法人「麻薬・覚せい剤乱用防止センター」が、広報の使用している標語に次のようなものがある。

「ダメ。ゼッタイ。」

薬物依存からの回復を目指す人たちの中からは、この標語が薬物依存者の立ち直りを阻害するという意見が上がっている。だが、あえて言おう。少なくとも未経験の人にとって覚醒剤は「ダメ。ゼッタイ。」であることにまちがいない、と。

取材・文/石井光太

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