年月を重ねないと鳴らない音がある
――ニューアコ2022のテーマ曲でもある「Time's a River」もリリースされましたが、今を肯定するような解放感や全能感溢れる曲で。この状況を悲観する向きも多い中、OAU史上最大級のポジティブな曲をこうしてリリースできるのは、なぜなんでしょうか。
でもね、一番状況的に閉ざしてたときよりは、今はなんとなく、いいじゃん(笑)。
――そうですね。
開いていくときは、それでいいんじゃない? それに自分たちの中では、その意識とはまた別に、音楽的に変わりつつある部分があって。コロナ前ぐらいから使い出しているハーモニーとリズムとグルーヴの部分でできることが進化していて、それをフルに使って楽曲を作ってみたかったんですよね。そのひとつひとつがこの新曲を生みだしたから、ポジティブな空気があるとしたら、それは自分たちに対してポジティブなんだと思う。
これしかできないよね、じゃなくて、これだったらもっとこうできるよねっていうことが、バンドでも、ひとりひとりの楽器でも起きていて。成長とは違う、成熟みたいなものを感じられると、自分たちも嬉しいからね。
――キャリアを重ねた今、これだけ新しいことができるのはなぜなんでしょう?
OAUとしてアコースティック楽器を持ったときから、歳をとっていくことを否定してないというか。楽器自体も古くなって音がよくなっていくこともあるし。MAKOTOが使ってるベースなんて、100年ものだからね。年が経たないと鳴らない音があるし、歳をとるからこその説得力や渋みを追い求められる可能性のある音楽をはじめからやっているから、年齢を重ねることへの拒否感はなく、むしろ、よくなる一方でしかないですね。
まだまだ、先が長くて面白いなあと思ってる。OAUを始めたことで自分たちの音楽人生がふくよかになったし、古臭い音楽をやっているはずなのに、未来のことが見えてますね。