印象に残る”起業家”の営業術

――数多くの起業家たちが挑戦していますが、その中で震撼した”ヤバい営業術”はありましたか。

前提としてどの起業家の方々も面白く、強く印象に残っています。ただ、その中でも特に印象に残っているのは、知名度も実績も抜群に高いある起業家の営業です。

彼自身、「営業の経験はほとんどない」と語っていましたが、いざ水を売るとなったら一変しましたね。とにかく、自信に満ち溢れているんです。自分の発する言葉に一点の曇りもないかのように、水の価値を堂々と語り始める。やはり起業家として大きな実績を残している経営者はすごいなと。

私も簡単に買うわけにはいきません。面白い動画に仕上げるために、無理難題や理不尽なことを交えながら「買わない理由」を伝えて抵抗します。それでも最終的には「この人から水を買いたいな」と思わせてしまう。圧倒的な人間力で引き込まれてしまいましたね。

ブラックな社長が1万円の水を売られて震撼した起業家の凄すぎる営業術_3
水売りの撮影で使用されているミーティングルーム。ここで、数々の起業家たちが営業の極意を披露している

また別の起業家の方は、そのロジカルな営業術の前に言葉が出ないほど圧倒されました。

通常、水売りをする起業家の方はシチュエーションを設定して営業術を1つ披露するのがほとんどです。しかしその起業家は「シチュエーションは3つ考えられる」と仰って、その全ての営業術を披露してくださいました。しかも、水を売るシチュエーションからその中で展開するトークの内容まで、論理的な破綻が一切ありません。1万円の水を1本売るのに2分かからず、それをどんどん進めてしまう。数多くの起業家たちの水売りを受けてきた私ですら、抵抗する余地はほとんどありませんでした。

――起業家たちの営業の様子をお聞きすると、営業は持って生まれたセンスがものを言うのかなと思ってしまいます。

経験によって伸びることもあるはずですが、営業適性のような素養も必要ではないかと思います。伸びしろはある程度は決まっていて、どこまで限界まで近づけるかは人それぞれで異なる気がします。

水売りに出演する起業家たちに共通しているのは、その社長だからこそできる営業であり、誰も真似できないやり方だということです。見ていても「すごい」としか思えなかったりします。