「eスポーツがサッカーなら、RTAは陸上競技」
ゲームの大会といえば、eスポーツを思い浮かべる読者も少なくないだろう。その注目度から、RTAも一つのカテゴリーとして組み込まれていく可能性がありそうだが、中島氏と中村氏はRTAがeスポーツになることはないだろうと語る。
「RTAのテクニックはスポーツでいうスーパープレーだとお話しましたが、RTA自体は陸上競技や水泳のように、勝敗よりも純粋なタイムに重点を置いています。一方、eスポーツで取り上げられるゲームは野球やサッカーのような、試合がメインの作品。方向性が少し違うんです」(中村氏)
「RTA in Japanは世界記録をめざす大会と誤解されがちなんですが、実際はショーケース、走者の技術のお披露目会なんです。今はとにかくRTA走者の活躍の場の提供に注力していて、それ以上のことはまだ考えていません」(中島氏)
最後に、お二人にRTAの魅力をお伺いした。
「本来ならクリアに数十時間以上かかることが想定されているゲームが、1時間足らずでクリアできてしまうこと。一つのプレイスタイルとしてもかなり面白いので、まずは気軽に始めてみてほしいです」(中島氏)
「RTAで披露されるテクニックは一見難しそうなんですが、コツを知ってしまえば簡単に再現できるものも少なくないんです。もちろん練習次第ではありますが、誰にでも記録を狙うチャンスがある。そのハードルの低さもRTAの魅力ではないでしょうか」(中村氏)
2022年も、8月11日から15日にかけて『RTA in Japan Summer 2022』が開催予定だ。イベントの模様は例年通りTwitchからリアルタイムで視聴できる。一つのゲームに情熱を注いだ猛者たちのスーパープレーが、今年も見られるかもしれない。
取材・文/笠木渉太
#2 「連続30時間プレイ」「同一ソフト800本保有」達人に聞くRTAの魅力