BKの「ファミリー感」と使い回し
BKびいきの人には、BK常連俳優というお馴染みの顔がいる安心感や、棚や衣装を使いまわしていることへの愛着を挙げる人もいる。
その背景には、物理的な条件もある。東京と大阪は行ったり来たりしづらく、俳優は合間に他の仕事を入れにくい。大阪に滞在する期間も多くなるため、より一層ファミリー感が出やすく、それが画面に現れることもある。『らんまん』の制作統括・松川博敬さんも、放送当時の取材で、BK制作では、東京から来た俳優に撮影のない日も大阪に滞在してもらうことになり、単身赴任のスタッフも多いため、コロナ禍以前は毎晩のように一緒に飲みに行き、いわば合宿状態になることもあったと話していた。
それだけに「アットホームな雰囲気は確かに作りやすい」という(Yahoo!ニュース エキスパート「朝ドラ『らんまん』が『AK制作・BK制作』というネットの偏見を覆した理由」より)。その一方で、拘束時間が短くて済むAKのほうが、ピンポイントで豪華なゲスト出演などを組みやすいこともある。
そんなファミリー感は、小道具にも表れる。2007年度後期の『ちりとてちん』は、よく観ると、前々作『芋たこなんきん』に出てきた本が部屋にあったり、飲み屋の看板が映り込んだりする。そんな細かい演出も一部で話題になった。当時のチーフプロデューサーで、現在は定年退職した遠藤理史さんは、放送中の取材でこう語っていた。
「それはスタッフの遊び心ですね。大阪局制作の朝ドラは毎年美術スタッフがほぼ同じメンバーなので、自分たちの作った小道具に愛着があって、さりげなくセットに置いたりしているようです」(エキサイトニュース「『ちりとてちん』の細かすぎる演出が話題!?」より)
とはいえ、使いまわしはBKだけの話ではない。『あんぱん』の美術担当・伊達美貴子さんは、過去の取材で、AKもBKも経験しているが「予算は変わりません」と話していた。予算を不公平だと言う人もいるが、条件は同じだという。セットの再利用は基本で、使い回しは「恐れずに見せる」のが伊達さんの方針だ。NHKの美術部門では、廃棄になるセットの情報を部内で共有し、ドラマ以外の番組で使ったセットがドラマにリサイクルされることもある。
そのうえで伊達さんは、作る番組数が多いAKは倉庫に複数番組分のセットパーツがあり、スケジュールが合えば有効に使えるため、再生利用できるパーツはAKのほうが多いかもしれないと推測していた(Yahoo!ニュース エキスパート「朝ドラ『あんぱん』美術担当が語る制作の舞台裏【後編】豊かな映像世界を支えるSDGs的発想と職人の矜持」より)。
濃いファンにとっては、BKに対する一種の「判官びいき」もあるだろう。あるプロデューサーは、東京に比べBKは、大阪で上司に企画を通し、その後東京で諮るという二段階の採択があると語っていた。大阪の芸人は全国区になるために二度売れなければならない、という芸人がよく言う理論に似ているかもしれない。













