「AK派」と「BK派」の永遠の争い
朝8時、NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)『ブラッサム』の放送が始まる。すると、放送中から、スマホのタイムラインに「#ブラッサム反省会」のタグが並び始める。ダメ出し、ツッコミ、辛辣な一言。放送が始まって1カ月、毎朝のことだ。
筆者は、NHK大阪放送局(BK)制作のこの作品を非常に良いと思っている。作家・宇野千代をモデルに、石橋静河が演じる葉野珠が、故郷の岩国から東京へ出て、自分の道を切り開いていく。
初回の世帯視聴率は15.5%と前作『風、薫る』の初回14.9%を上回り(MANTANWEB「ブラッサム:石橋静河主演の朝ドラ 初回視聴率15.5% 個人は8.6% 前作『風、薫る』初回上回る」より)、レビューサイトFilmarksでも5点満点中3.6点とまずまずの評価だ(日刊ゲンダイDIGITAL「石橋静河『ブラッサム』は“朝ドラ勝ちパターン”! 15%→13%台でも中盤で盛り返す“2つの条件”」より。10月7日時点)。それでも、反省会タグは早々に立ち上がり、辛口の声が日々ついている。
これは『ブラッサム』に限った話ではない。朝ドラが終わり、次の作品が始まると、早々に立ち上がるのが「#〇〇反省会」のタグだ。再放送時に便宜的に立ち上がったものの、欠点があまりにもなくほとんど使われなかった『カーネーション』を除き、近年はどの作品もたいていSNSの俎上に載せられ、辛口のツッコミや手厳しい指摘を受ける。
朝ドラは毎日15分で、ずっと継続視聴するとなると案外、骨が折れる。その一方で、短い時間で感想や意見を書き込みやすい間口の広さもあり、とかく話題になりがちだ。朝ドラを観て日々つぶやく層の中には、作品への賛否のスタンスを初期段階で決め、ほめ続ける人、けなし続ける人もいる。
朝ドラ好きの間でよく知られた言葉に、「AK」と「BK」がある。NHK東京放送局のコールサイン「JOAK」から「AK」、NHK大阪放送局の「JOBK」から「BK」と呼ばれ、それぞれの局が制作した朝ドラを指す。
朝ドラは1975年度前期の『水色の時』以降、前期(4月〜9月)を東京、後期(10月〜翌3月)を大阪が制作する半年交代制をとっている(1年間の放送だった『おしん』『君の名は』『春よ、来い』を除く)。ファンもいつしかAK派とBK派に分かれ、前作や次作の放送時期になると、SNSには相手側の悪口が並ぶのが恒例だ。
その矛先が、作品の内容ではなく、制作局に向くこともある。『ブラッサム』の反省会タグには、大阪制作の朝ドラは「クズ」を出すのが好きなのか、実在の人物をモデルにした話は大阪制作ではやらないほうがいい、といった投稿が見られる(X上の「#ブラッサム反省会」の投稿より)。
前々作『ばけばけ』(BK)の反省会にはよく通った(♯●●反省会の投稿をする、あるいは反省会タグをつけている投稿をチェックしに行く)が、前作『風、薫る』(AK)は朝ドラらしくまともで一度も行きたくならなかった、今作でまた反省会に戻りそうだという声もあった。
作品への不満が、いつの間にか「大阪制作」というくくりへの不満に広がっていく。そうした事情もあって、AKファンとBKファンは、いつも争い、揉め続けているのだろう。
それにしても不思議なのは、作り手側の事情である。プロデューサーや演出家などNHKの制作陣は転勤があるため、AKでもBKでも朝ドラを手がけた経験のある人が多い。それなのに、なぜファンだけが争うのか。この独特の文化について考えてみたい。













