「泥棒です!」革靴の音を鳴らして追いかけた店員

飲食店オーナーの男性が異変に気づいたのは、1階のエスカレーター付近だった。黒ずくめの男が、上りエスカレーターを逆走して駆け下りてきたという。

「帽子をかぶった、外国人とみられる男でした。身長は180センチくらいで、ラグビー選手のように体格が大きかった。男は目の前を通って、地下1階へ逃げていったんです。実はその前にも館内で2、3回すれ違っていて、顔を覚えていました」

通常とは逆方向にエスカレーターを駆け下りる姿に、男性は8月の事件を思い浮かべた。直後に時計店のスタッフらが追いかけてきたことで、再び盗難が起きたとわかったという。

「濃紺のスーツを着たスタッフが、革靴をカタカタ鳴らしながら、エスカレーターを滑り落ちるように逆走してきたんです。最後はジャンプして飛び降りてきたので、『ケガするぞ! 何やってんの?』と声をかけました。すると、『泥棒です! 4000万円台の時計を盗られました!』と。ひどく慌てている様子でした」

捜査する捜査員(写真/読者提供)
捜査する捜査員(写真/読者提供)

飲食店オーナーの男性は午後7時55分に110番通報し、自らも地下1階へ男を追った。電話で状況を伝えながら、約5分間行方を捜したという。

「地下1階はスーパーなどがあって、買い物客で混み合っていました。さらには地下駐車場もあり、人混みの中で男を見失ってしまいました」

その後、現場には約20人の警察官が駆けつけた。男性は、海外からも多くの客が訪れる施設で被害が続いたことに憤りを隠さない。

「アニメと時計の街として、海外の人にも楽しんでほしい場所なのに、立て続けにこんな事件が起きてしまった。これで中野の治安が悪いと思われるのは、地元で商売をしている身として悔しいです」(同前)

警視庁中野署は窃盗事件として、逃げた男の行方を追っている。

捜査する捜査員(写真/読者提供)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班